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手足の冷えの原因による分類と対策【東洋医学タイプ分類】

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1.手足の冷え(手足厥冷)とは?

手足厥冷は単に「厥逆」とも呼ばれ、手先から肘、足先から膝までの冷えを言います。
東洋医学ではさらに細かく分類がされており、手先から手首、足先から足首までの冷えを「手足厥冷(しゅそくけつれい)」を言います。
そして、手先から肘、足先から膝までの冷えを「手足厥逆(しゅそくけつぎゃく)」と言います。
さらに、手足厥冷の程度の軽いものは「手足清冷」「手足不温」と言います。
ここでは、手足から肘、膝までの冷えを東洋医学的生理学にもとづいて分類、説明していきます。

 

2.分類

東洋医学的には手足の冷えを以下の6つのタイプに分類して、治療や養生指導を行っていきます。
自分がどのタイプなのかを知ることは治癒への第一歩です。
それぞれの特徴的な症状をチェックして、一番チェック数が多かったタイプの解説・対策法を参考にしてみてください。

2-1.陽虚タイプ






 

2-2.熱邪内鬱タイプ









 

2-3.陽気鬱阻タイプ









 

2-4.血虚受寒タイプ






 

2-5.痰濁内阻タイプ






 

2-6.蛔虫擾乱タイプ




 

3.解説とワンポイントアドバイス

3-1.陽虚タイプ

【解説】
陽虚タイプの中でも、さらに3タイプに分かれます。
3タイプとも、カラダを温める機能が低下し、手足の冷えが生じます。
しかし、カラダを温める機能の低下の程度によって随伴症状に違いがあります。
各症状は以下の通りです。

<随伴症状>
①脾腎陽虚タイプ:寒がってカラダを縮めて寝る、未消化の下痢
②格陽タイプ:寒気がない、顔が赤い、嘔気はあるが嘔吐物は出ない、のどの痛み
③戴陽タイプ:吐き気はあるが嘔吐物は出ない、水様便が止まらない、焦燥感

 

【ワンポイントアドバイス】
まずは外からしっかりと保温してください。
そして、温かいものを食べましょう。
夏野菜や生もの、冷たい緑茶や冷酒、ビールはカラダを冷やしますので、控えめにしてください。
しかし、一番大事なことは運動です。
カラダの中から熱を作れるようになるような体づくりが必要です。
熱を生み出すためには筋肉量を増やすことが効率が良いです。
最近全く運動していないという方であれば、早歩きでのウォーキングだけでも効果を感じられるかも知れません。
さらに、手足をよく動かすことによって、胃腸も強くなり、効率よく消化吸収できるようになります。
食べ物は熱源になりますので、消化器系がしっかりしていることは重要なことです。

 

3-2.熱邪内鬱タイプ

【解説】
カラダの深い所に強い熱があるために起こる手足の冷えです。
東洋医学の病気の考え方で、カゼが深い所に入り込んで、熱化した場合などに起こります。
手足が冷えているにもかかわらず、顔が赤く、口が渇き、水を飲みたがるのが特徴的です。

 

【ワンポイントアドバイス】
手足の冷えの症状はありますが、実際にはカラダの中に熱を持っている状態です。
脂っこいものや香辛料、味の濃いものはカラダの熱を増幅させますので、避けた方が良いでしょう。
水分をしっかり摂って、寝ていればよくなる場合もあります。
しかし、改善されない場合には良い鍼灸院をお探しください。

 

3-3.陽気鬱阻タイプ

【解説】
東洋医学でいう「肝(かん)」はカラダに必要な栄養やエネルギーをのびやかに隅々まで送ることが一つの大きなはたらきです。
しかし、精神的緊張やストレスによって、肝のはたらきが悪くなります。
その結果、手足まで栄養やエネルギーが行き渡らなくなり、冷えが生じます。
特徴は、手足の冷えは肘や膝以上になることはないこと、みぞおちから肋骨に沿った部分が張って苦しい、ため息が多いなどの症状が見られることです。

 

【ワンポイントアドバイス】
精神的緊張やストレスを解決することが根本治療になります。
しかし、それが難しい場合には、代償行為として、カラダをよく動かすようにしてください。
ココロの影響を受けたカラダのめぐりの悪さはそれによって解消されます。
運動後にスッキリとした気分になれる運動であれば何でも良いです。
自分にあったものを探してみてください。

 

3-4.血虚受寒タイプ

【解説】
東洋医学でいう「血(けつ)」が足りない体質の方がさらに冷えを受けるために起こる手足の冷えです。
東洋医学でいう血(けつ)は、カラダを潤したり、栄養するはたらきを持っています。
さらに熱を蓄える働きもあるため、血が足りない体質の方は冷えやすい体質とも言えます。
特徴は気候に左右されやすく、温めれば冷えは解消されますが、寒い所にいると、すぐに手足が冷えてきます。

 

【ワンポイントアドバイス】
血を補っていく必要があります。
目の使い過ぎや気の遣い過ぎは血を消耗しますので、気を付けてください。
お赤飯やおはぎ、レバー、豚バラなどは血を補う作用のある食品です。積極的に食事に取り入れるようにしてください。
そして、「加温」ではなく、「保温」を心がけてください。
カイロなどでの加温は、汗をか居てしまうことも多く、その結果、逆に冷えてしまいます。
ですから、衣服などで調整してください。
しかし、カラダの中から熱を作り出せるようになるには、運動が必要です。
散歩などの手軽に始められる運動からはじめてみてください。

 

3-5.痰濁内阻タイプ

【解説】
カラダの中に余分な水分が多い体質の方が胸まわりのめぐりが悪くなって生じる手足の冷えです。
普段から痰やつばが多い、口が粘る、胸やお腹が張って苦しいなどの症状があります。
そして、カゼをひいたり、悩みや怒りにともなって手足の冷えが生じます。
ひどい場合には意識障害や狂ったように騒ぎ出すなどの症状が出る場合もあります。

 

【ワンポイントアドバイス】
カラダの中の余分な水分を溜めないようにすることと、排出していくことがポイントです。
冷たいものや生ものの過食は控えるようにしてください。(冷たい緑茶、冷酒、お刺身、サラダなど)
また、のどが渇いていないのに無理に水分を摂る必要はありません。
胃腸に負担がかかると、水分代謝が悪くなりますので、胃腸に負担をかけないようにしましょう。
食べ過ぎやながら食べ、早食いなどはしないように心がけましょう。
寝る2,3時間前には晩ご飯を食べ終えるようにしてください。
東洋医学では手足を動かすと、消化器系の昨日が高まると言われています。
手をよく振って歩くことから始めてみてください。
また、ハトムギ茶は余分な水分を排出するはたらきがあるため、水分補給にはおすすめです。

 

3-6.蛔虫擾乱タイプ

【解説】
寄生虫がカラダの中で動きまわった際に起こる手足の冷えです。
寄生虫がカラダの中で寄生すると、胃腸が弱くなり、軽度の腹痛があります。
それが動きまわると、胃腸部分でカラダのめぐりが停滞し、手足に栄養やエネルギーが行き渡らなくなります。
特徴は上腹部の激痛にともなって、手足の冷えが起こり、水様物や胆汁、回虫を嘔吐することもあります。
多くは子どもにみられますが、まれに大人にもみられることがあります。

 

【ワンポイントアドバイス】
現代の日本ではあまり見られなくなっていますが、上腹部の激痛と共に、手足のの冷えがある場合には専門の医療機関にご相談ください。
寄生虫がいる場合には、それを除去することが根本治療となります。

 

4.まとめ

皆さんはどのタイプだったでしょうか?
今回のチェックでは大まかに自分がどのタイプなのかお分かりいただけたのではないかと思います。
しかし、細かな正確な体質分類は専門家でなければできませんので、お近くの良い鍼灸院をお選びください。

また、各タイプ別のワンポイントアドバイスはタイプが正確に決定できてこそ効果があります。
このワンポイントアドバイスによって症状が悪化したなどの場合、当サイトでは一切責任を負いかねますので、ご了承ください。

 

参考文献:中医研究院 趙金鐸(1987)『症状による中医診断と治療 上巻』神戸中医学研究会編訳,燎原書店.

 

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