神経障害

嗅覚障害の症状・原因・治療

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1.嗅覚(きゅうかく)障害とは

何らかの原因によって、においを認識する経路に障害が起き、においが識別できなくなることを嗅覚障害と言います。
嗅覚機能の低下だけでなく、においに対して敏感になったり、本来のにおいとは別のにおいとして感じてしまうこともあります。

 

2.鼻の構造と役割

◆鼻の構造

鼻は大きく三つに分けることができます。
外鼻・鼻腔・副鼻腔となります。
鼻腔・副鼻腔は鼻粘膜で被われています。
役割として、
・呼吸
・異物の侵入を防ぐ
・空気の湿度・温度の調節
・においを嗅ぐ
などの役割があります。

 

・外鼻

外鼻とはそのまま外から見た鼻の構造を言います。
鼻根(びこん)・鼻背(びはい)・鼻筋・鼻先(鼻尖)・小鼻(鼻翼)などの各部分に区別されます。
外鼻のほとんどが軟骨(鼻軟骨)で出来ており、上部が骨(鼻骨)で出来ています。

 

・鼻腔

鼻腔とは鼻の中(鼻の穴から喉の手前まで)の構造のことを言います。
左右は鼻中隔という壁で分けられています。
鼻の中には三つのトンネルや、空洞(副鼻腔)があります。
外鼻と鼻前庭以外は粘膜に被われており、呼吸部と嗅部に分かれます。

 

鼻前庭

鼻の穴を入ってすぐを鼻前庭(びぜんてい)と言います。
ここは皮膚で被われていて、鼻毛が生えています。
脂腺やアポクリン腺があります。

 

トンネルを作る三つの壁

鼻腔にある三つの壁を上・中・下鼻甲介(こうかい)と言います。

これら甲介の下を通るのが上・中・下鼻道というトンネルです。

 

 

 

上鼻道

上鼻甲介と中鼻甲介の間を上鼻道と言います。
きわめて細く篩骨洞の後部が開口します。

 

中鼻道

中鼻甲介と下鼻甲介の間を中鼻道と言います。
ここには前頭洞の前部・篩骨洞の前部が開口しています。
中鼻道後部には上顎洞も開口しています。

 

下鼻道

下鼻甲介と口蓋の間を下鼻道と言います。
ここには鼻涙管が開口しています。
目の内側にある涙点という小さな穴からこの下鼻道まで繋がっています。

 

・副鼻腔

副鼻腔は鼻を囲む骨の空洞(上顎洞・前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞)です。
内側には粘膜が張っていて、それぞれの空洞が鼻腔に繋がっています。
副鼻腔の機能的意義は明らかでなく、吸気の温度調節・頭蓋の軽量化・発声の共鳴などがあげられています。

 

 

 

上顎洞

上顎骨が作る空洞で副鼻腔の中で最も大きい空洞です。
空洞内の上部は眼窩があり、下部は歯根(歯槽突起)が突出しています。
鼻腔の中鼻道に開口しています。
上顎洞内の粘膜は、上歯槽神経・眼窩下神経(三叉神経の枝)が分布しています。

 

前頭洞

前頭骨の内部にある空洞です。
薄い中隔で左右に分かれており、中鼻道(篩骨漏斗)に開口します。
前頭洞内の粘膜は、眼窩下神経(三叉神経の枝)が分布しています。

 

篩骨洞

篩骨の内部にある空洞で、鼻腔と眼窩の間にあります。
篩骨は前篩骨洞・中篩骨洞・後篩骨洞にに分けられ、多くの小腔があるため篩骨迷路と言われています。
前・中篩骨洞は上鼻道に開口し、後篩骨洞は上鼻道に開口しています。
篩骨洞の粘膜は、前・後篩骨神経(三叉神経の枝)が分布しています。

 

蝶形骨洞

蝶形骨の内部にある空洞で、鼻腔の後上部開口しています。
蝶形骨洞の粘膜は後篩骨神経(三叉神経の枝)が分布しています。

 

・嗅神経

嗅神経は12ある脳神経核の1つで第1脳神経にあたります。
鼻に入ったにおい分子は鼻腔上部にある嗅細胞でキャッチされます。
神経は嗅細胞から篩骨篩板を通り嗅球に情報を送ります。
さらに嗅球から嗅索に至り、嗅索では内外側に分かれ内側嗅条と外側嗅条となります。
外側嗅条が嗅条線維の大部分を占め、海馬(海馬傍回)に至ります。
嗅神経が付く海馬の部分を梨状野と言い、前梨状野・扁桃周囲部・嗅内野からなり、においを認識する中枢器官となります。

 

3.嗅覚障害の症状

嗅覚障害といってもにおいを感じない嗅覚脱失から過敏まで症状は様々です。
嗅覚障害の多くが嗅覚脱失又は嗅覚の低下症状が占めます。

 

◆症状による分類

嗅覚障害は大きく分けて量的・質的なものに分かれます
量的な障害とはにおいが分かりずらい、分からないなどの症状です。
質的とは異なるにおいを感じる、特定のにおいだけ分からないなどです。

 

・量的障害

嗅覚低下
においが分かりずらい

嗅覚脱失
においが全く分からなくなります

 

・質的障害

異嗅
異嗅症は「本来のにおいとは別のにおいを認識する」ことをいいます
異嗅症は刺激性と自発性に分かれています。

刺激性異嗅症
別のもののにおいを嗅いでもおなじににおいがする、本来のものとは別のにおいがするなどの症状をいいます。

 

自発性異嗅症
常に同じにおいを感じる、何もないのに突然においがするなどの症状を自発性異嗅症といいます。

 

・嗅盲
ある特定のにおいだけ分からないことを言います。

 

・嗅覚過敏
過敏は一見量的なものに分類されそうですが、質的な問題となります。
あるもののにおいを嗅ぐと不快に感じるという症状が前面にでているため質的なものになります。
さらに鼻が感じられるにおいの濃度を検査しても、異常がないことから質的な障害に分類されます。

 

4.嗅覚障害の原因

嗅覚を障害する原因は様々で原因究明が重要となります。
大きく分けて3つに分類され、呼吸性・末梢性・中枢性となります。

 

◆原因による分類

 

・呼吸性嗅覚障害

鼻腔などの空気が通過する部位に異常があり起こる嗅覚障害です。

 

・末梢性嗅覚障害

嗅粘膜にあるにおいを感知する細胞の障害です。
頭部外傷により末梢神経に損傷・断裂が起こっても嗅覚障害が起こります

 

・中枢性嗅覚障害

においを認識する脳の障害による嗅覚障害です。
脳腫瘍や脳卒中、頭部外傷によっても起こるため緊急を要する場合があります。

 

・先天性

生来においを感じないこともあります。
本人は異常と気づかず発見が遅れることもあります。
カルマン症候群が多く、中枢性性腺機能低下症と嗅覚障害を伴うものです。

 

・薬物性

有毒ガスやシンナー、タバコによる嗅粘膜への障害もあります。

 

分類 障害部位 原因疾患
呼吸性嗅覚障害 鼻腔 アレルギー性鼻炎

副鼻腔炎

鼻中隔弯曲症

末梢神経性嗅覚障害 頬粘膜・神経軸索 感冒罹患後

薬剤性

頭部外傷

中枢性嗅覚神経障害 嗅球~中枢 頭部外傷

脳腫瘍

アルツハイマー病(関連記事

パ-キンソン病

脳血管障害

カルマン症候群(先天性)

 

 

5.嗅覚障害の診断と検査

◆問診

患者さんへの問診は重要となります。
・発症時期
・嗅覚障害の程度
・症状の経過(軽快・悪化・固定・変動)
・他の鼻症状の有無
・異臭の有無
・味覚障害の有無
・薬物投与
・既往歴
など

 

◆内視鏡検査

鼻に内視鏡を入れ、直接内部を観察します。

 

◆画像検査

X線やCT・MRIで鼻の異常や脳の異常を検査します

 

◆嗅覚検査

・基準嗅覚検査
においの液体がついた濾紙を鼻に近づけどの程度識別でいるか検査します。

 

・静脈性嗅覚検査
ビタミンB1を静脈に注射します。
10秒ほどで血液から肺へと運ばれ、呼気と一緒に吐き出されるためにおいを感じます。
においを感じる時間は1分半ほどです。
においを感じている時間の長さや嗅覚障害の有無を検査します。

 

6.嗅覚障害の一般的な治療

原因によって様々です。
鼻の異常がある場合はそれに対する治療が必要です。
薬物療法や免疫療法などで、場合によっては手術となります。

神経系の異常では、緊急を要する場合もあります。

 

7.嗅覚障害の予後と後遺症

嗅覚障害は生活に大きな支障をきたします。
食事の味がわからない・食べ物の腐敗臭もしない・ガス漏れなどもわからないため危険が伴います。
感冒後嗅覚障害においては他の疾患と比べると予後は良いほうとされています。
中枢神経障害に伴うものなどは予後不良とされています。

注:予後とは病気の経過や見通しのことをいいます。

 

 

8. 神経障害に関する記事

巨人・沢村投手の肩の異和感の顛末に鍼灸師が覚える違和感(長胸神経麻痺)

巨人沢村投手の報道を見て一鍼灸師が感じたもやもや感 まとめ(上記の追記)

外転神経麻痺の症状・原因・治療(目の麻痺)

顔面神経麻痺の原因・症状・治療

ラムゼイ・ハント症候群の原因・症状・治療

 

 

※内容に誤りや情報が古いなどありましたらお手数ですがご一報ください。

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