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【激しい脛(すね)の痛み】下腿コンパートメント症候群の症状・原因・治療まとめ

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1.下腿コンパートメント症候群について

コンタクトスポーツや事故による足への外傷や圧迫、過剰な運動により、下腿を形成する区画(コンパートメント)の内圧が上昇し神経や血管を圧迫し種々の症状がでる疾患です。
急性型と慢性型に分かれ、急性型の症状として、激しい痛みや腫れ、感覚障害を伴います。
慢性型では運動後の痛みや筋のこわばり、腫れ感などがあり、安静にしていると症状が軽減する場合もあります。
急性型では内圧の上昇が止まらず、神経障害や循環障害を起こすため緊急の処置が必要となります。
放置しておくと下腿の阻血状態が続くため、筋の壊死による拘縮や神経障害による麻痺が起きるため後遺症を残しやすい疾患です。

慢性型では10代~20代のサッカー選手や長距離ランナーに好発します。
運動後安静にしていると症状は軽快しますが、場合によっては下腿の内圧を下げる手術が必要なこともあります。

 

2.下腿コンパートメント症候群の症状

◆急性型

・激しい痛み

区画内圧の上昇により骨折とは比較にならないくらいの痛みが発生します。
痛みのために歩行も困難となることもあります。

 

・腫れ

内圧上昇に伴い下腿が腫れ、水疱を形成する場合もあります。

 

・痺れ・感覚障害

区画内にある神経や血管が圧迫されるため支配神経領域に痺れや感覚障害を起こします。

 

・拘縮

進行すると筋肉の拘縮が起こり足や足趾が動かしにくくなります。

 

用語解説
拘縮:関節周囲の組織が何らかの原因により変性を起こし可動域制限が起こることです。

 

◆慢性型

・運動後の痛み

運動中又は運動後に症状が悪化します。
安静にしていると症状は軽減しますが、病能が悪化すると日常生活時にも痛みを伴います。

 

・運動後のこわばり・腫れ

区画内圧の上昇に応じた腫れ感や動作時のこわばりが起こります。

 

3.下腿のコンパートメント(区画)について

下腿は中央を輪切りにすると4つの区画に分かれています。
それぞれの区画に筋肉や神経、血管があり区画内圧が上がることで種々の障害が起こります。
前方のコンパートメント症候群が最も多く次いで外側コンパートメント症候群となります。

◆前方区画

・筋肉
前脛骨筋
長母趾伸筋
・血管
前脛骨動静脈
・神経
深腓骨神経
・症状
母趾内側と第2趾間の知覚障害
足関節の背屈制限
他動的に足関節底屈することにより痛みが増強します。

◆外側区画

・筋肉
長・短腓骨筋
・神経
浅腓骨神経
・症状
足関節外返しの制限
他動的に足関節内返しにより痛みが増強します。

◆浅層後方区画

・筋肉
腓腹筋
ヒラメ筋
足底筋腱
・症状
足関節の底屈制限
他動的に足関節を背屈すると痛みが増強します。

◆深層後方区画

・筋肉
後脛骨筋
長母趾屈筋
長趾屈筋
・神経
脛骨神経
・血管
腓骨動静脈
後脛骨動静脈
・症状
足関節底屈内返しの制限
他動的に足関節を背屈・外返しすると痛みが増強します。

 

4.下腿コンパートメント症候群の原因

急性型と慢性型の二つに分かれます。

◆急性型

 

 

下腿骨(脛骨骨折が最も多い)の骨折やギプスや重量物による圧迫、動脈の損傷が原因となります。
通常人の毛細血管圧は20~30mmHgですが、これ以上に内圧が上がると毛細血管の循環不全と透過性の亢進が起こります。
すると細動脈の閉塞や組織間液の増加がおこりさらに内圧が上がり悪循環となります。

この場合緊急の処置が必要で、放置していると筋肉の壊死による拘縮や神経障害による麻痺を起こします。

◆慢性型

長距離ランナーやサッカー選手に多く、10~20代に好発します。
ほとんどが前方区画に起こり、両側性が過半数を超えます。
メカニズムとしては区画内にある筋肉が大きさ(容量)と区画の大きさ(容器)のアンバランスにより起因する循環障害とされています。
長期間のトレーニングによる筋肥大や筋ヘルニアによる容量増大
筋膜の肥厚により容器の減少
などが原因となっていると推測されます。

運動中や運動後に症状が悪化し、安静にしていると症状は軽減します。
急性型のように永続的な後遺症は残しませんが、場合によっては手術が必要となります。

◆下腿コンパートメント症候群を起こしやすいスポーツ一覧

◇急性型
・スキー
・ラグビー
・格闘技
などの下腿に外傷を受けやすいコンタクトスポーツに多いです。

◇慢性型
・陸上長距離
・サッカー
・ラグビー
・重量挙げ
・バスケットボール

 

5.下腿コンパートメント症候群の検査と診断

◆問診・触診・視診

急性型では区画内の筋を他動的に伸展させると激痛を伴います。
末梢動脈の拍動は阻血性拘縮となった後も消失しないこともあります。
麻痺の有無や感覚異常の有無を確認します。

阻血症状の5’Psとして、
阻血性疼痛(pain)動脈拍動の消失または減弱(pulselessness)皮膚蒼白(paleness)運動麻痺(paralysis)感覚異常(paresthesia)、
区画内の筋の他動的伸展時の疼痛増強を加えた6’Psがそろっている場合はすでに区画症候群は進行していることを意味し、緊急の処置を要します。

慢性型では罹患区画が硬くなり圧痛を認めます。

◆内圧測定

簡便で瞬間的な内圧測定法としてneedle manometer法があります。
その他にも携帯モニターシステムや14gaugeのエラスター針を通して挿入可能なトランスデューサーなどもあります。

◆画像検査

骨組織の損傷の有無を確認するためにレントゲンや骨シンチグラフィーで検査します。

 

6.下腿コンパートメント症候群の一般的な治療

◆急性型

急性型では緊急の処置が必要です。
阻血状態になってから6~8時間以上になると筋の壊死や神経、血管への損傷も起こり後遺症を残します。

・手術療法

急性型コンパートメント症候群が確認されたら筋膜を切開し内圧を下げる手術を行います。
疑わしい場合でも減圧術を行います。

◆慢性型

症状に対して一時的な治療を行います。
必要であれば手術も選択されます。

・保存療法

◇安静
下腿を動かさないように安静にします。
テーピングなどで固定する場合もあります。
◇アイシング
下腿を冷やします。
◇スポーツの禁止
原因となるスポーツを中止します。

 

7.下腿コンパートメント症候群の鑑別疾患

◆絞扼性神経障害

慢性型では下腿に起こる絞扼性神経障害との鑑別が必要です。

◆疲労骨折

慢性型では下腿部に起こる疲労骨折との鑑別が必要です。

 

8.下腿コンパートメント症候群の予後と後遺症

◆急性型

早期の治療が必要となります。
阻血状態が6~8時間続くと筋肉の壊死による拘縮や神経障害による麻痺が起こります。
そのため運動機能障害や変形などが永続的の残る場合もあります。

変性が進んだ場合はいずれかの再建術や壊死筋肉の切除、神経剥離術や皮膚形成術などを組み合わせた機能再建術が必要となります。

◆慢性型

運動を再開とともに再発しやすい疾患です。
そのため競技会レベルへの復帰は困難となるため手術が選択されることもあります。
手術では最小限の皮膚切開によって筋膜の切開を行う種々の方法が考案されています。

 

 

※内容に誤りや情報が古いなどありましたらお手数ですがご一報ください。

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