an's diary 杏の日記, 精神科疾患

うつ病の症状・原因・治療まとめ

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1.うつ病について

うつ病とは、
・仕事や日常生活に支障をきたすほどの悲しみを感じる
・気分が回復せず強い憂鬱感が長く続く
・何かをする事に興味や喜びを感じることが低下している
と言った症状(抑うつ状態)がほぼ毎日、一日中、二週間以上続き、日常生活に支障をきたした状態です。

日本人では生涯で13人に1人がうつ病を患い、妊娠中・産後うつの発症は3人に1人と言われています。
女性の方が男性より発症する確率が高いと言われています。

 

2.うつ病の症状

 

こころの症状である「精神症状」と肉体的な症状である「身体症状」とがあり、1日の中でも変化が見られます。

 

2-1.精神症状

◆気分が落ち込む
◆やる気が起きない
◆憂鬱
◆希望がない(と感じる)
◆訳もなく悲しくなる
◆好きだったものに関心がなくなる
◆テレビなどを見てもおもしろいと感じない
◆意欲がわかない
◆何かをするのがおっくうに感じる
◆性的な欲求、異性への関心がなくなる
◆不安になる
◆イライラする
◆焦りを感じる(焦燥感)
◆自分を責める
◆会話や本の内容が頭に入ってこない
◆集中できない
◆みだしなみやおしゃれに関心がなくなる
◆死にたくなる(希死念慮・きしねんりょ)
◆決断力や判断力の低下

 

2-2.肉体症状

◆睡眠障害(眠れない、1日中眠い)
◆食欲がなくなる(逆に過食・体重増加の場合もある)
◆カラダがだるい、重い
◆疲れやすく、疲れがとれない
◆人と話すのがめんどう、おっくうに感じる
◆生理が不順になる
◆勃起の障害
◆性欲の低下
◆頭痛や頭重感
◆肩凝り、肩・腰・背中などの痛み
◆めまい
◆口の乾き
◆動悸
◆胃の不快感
◆便秘
◆発汗

など症状は多岐にわたります。

症状は数日~数週間かけて徐々に現れてきます。
多くは朝起きた時が最もつらく、夕方になるにつれて回復していく傾向があるようです。

 

また、米国精神医学会の基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision, DSM-IV-TR)では、
次の条件にあてはまるものを大うつ病性障害としています。

以下の症状のうち、少なくとも1つあるもの
1.抑うつ気分
2.興味または喜びの喪失

さらに、以下の症状を併せて、合計で5つ以上が認められるもの

3.食欲の減退あるいは増加、体重の減少あるいは増加
4.不眠あるいは睡眠過多
5.精神運動性の焦燥または制止(沈滞)
6.易疲労感または気力の減退
7.無価値感または過剰(不適切)な罪責感
8.思考力や集中力の減退または決断困難
9.死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

上記症状がほとんど1日中、ほとんど毎日あり2週間にわたり、症状のために著しい苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。
これらの症状は一般身体疾患や物質依存(薬物またはアルコールなど)では説明できない。

(参考:大うつ病診断基準DSM-IV)

 

3.うつ病の原因

うつ病のはっきりした原因はまだわかっていません。

しかし、うつ病を発症しやすくなる要因はいくつかあり

◆脳の神経伝達物質が減る
◆遺伝(家系)
◆性別(女性の方が多い)
◆ストレスやカラダの病気
◆薬の影響
◆人間関係や環境の変化
など、様々な要因が重なって起こると考えられています。

<うつ病原因の一例>

3-1.脳と神経系の病気

脳腫瘍
認知症(早期)
頭部外傷
多発性硬化症
パーキンソン病
睡眠時無呼吸症
脳卒中
側頭葉に影響を与える発作(複雑部分発作)

3-2.がん

全身に転移したがん
膵臓がん

3-3.結合組織疾患

全身性エリテマトーデス

3-4.内分泌疾患

アジソン病
クッシング症候群
糖尿病
副甲状腺機能亢進症(副甲状腺ホルモンが過剰になった状態)
甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過少または過剰になった状態)
下垂体機能低下症(下垂体ホルモンが不足している状態)
性腺機能低下症(テストステロンが不足している状態)

3-5.感染症

エイズ
インフルエンザ
単核球症
梅毒(晩期)
結核
ウイルス性肝炎
ウイルス性肺炎

3-6.栄養障害

ペラグラ(ビタミンB6欠乏症)
悪性貧血(ビタミンB12欠乏症の一種)

3-7.薬物

アルコール
アンフェタミンの離脱症状
アムホテリシンB
抗精神病薬
ベータ遮断薬(一部)
シメチジン
避妊薬(経口)
コルチコステロイド
サイクロセリン
ホルモン(エストロゲン)療法
インターフェロン
水銀
メチルドパ
メトクロプラミド
レセルピン
タリウム
ビンブラスチン
ビンクリスチン

引用サイト:MSDマニュアル家庭版

 

4.うつ病の検査と診断

【検査】

うつ病の診断を確定できる検査はありません。
うつ病の原因が内分泌疾患などの身体的な病気でないかを調べるために、以下の臨床検査が役立つ場合もあります。

◆血液検査
甲状腺の病気やビタミン欠乏症など

◆薬物検査
若い人の場合、薬物乱用の検査を行う場合もあります

◆神経学的検査
うつ病に似ているパ-キンソン病がないかを調べるために行われます

◆睡眠ポリグラフ検査
睡眠障害と区別するために行われます

 

【診断】

通常は症状から診断を下されます。

医療面接を行い
・症状や他の病気
・自分の性格
・家族のこと
・ストレスに感じる出来事
などを聞きます。
本人だけでなく家族にも話を聞く場合もあります。
その際、既往歴、家族歴も診断確定の材料になります。

うつ病の診断やの重症度などを評価するために用いられる質問票はありますが、それ単独の結果でうつ病と診断することはできません。
質問票は
・口頭で行うハミルトンうつ病評価尺度
・患者自身が記述するベックうつ質問票
が代表的です。

 

5.うつ病の一般的な治療

◆十分な休養・質のよい睡眠をとる

◆薬物療法

抗うつ剤が中心となり、
・SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
・三環系抗うつ薬
等のタイプがあり、症状や状態によって使い分けます。

抗うつ剤以外にも、症状に合わせて睡眠導入剤、抗不安剤、気分安定薬などが使われる場合もあります。

◆精神療法

精神療法の中心は支持的精神療法になります。

支持的精神療法とは
・患者の話をよく聞き
・不安な気持ちを十分に理解し
・適切なアドバイスをしていく
ことです。

また、うつ病につながりやすい思考、行動パターンを修正する認知行動療法、対人関係療法などもあります。

◆電気けいれん療法

薬物療法で効果が現れない場合や、薬物が使えない場合に行います。
頭皮に電極をつけて電流を流します。

◆光療法

季節性のうつ病に有効と言われています。
必要な強さの光を発するライトボックスから距離を空けて座り、直接光を見ないようにそのまま一定時間留まります。

◆漢方薬

加味逍遥散を抗うつ薬と組み合わせると、抗うつ薬単独よりも有効であったと報告されています。
抗うつ薬の増強療法として一考の余地があると言われています。

 

6.うつ病の鑑別

・不安症
うつ病では過度の心配、パニック発作、強迫観念などもよく見られるため誤診されやすいと言われます。

・認知症
高齢者では混乱、集中力の低下、明瞭な思考が困難になるなど、うつ病と認知症が同様な症状を起こします。

・躁鬱病(双極性障害)
抑うつ状態と躁状態、または軽度の躁状態が交互に現れます。躁状態は身体活動や置かれた状況とかけ離れた高揚感を特徴とします。

・甲状腺機能低下症
よくうつ病の症状をおこし、特に高齢者に多く見られます。

・パ-キンソン病
気力の喪失、無表情、寡黙といったうつ病と似た症状が見られます。

 

その他、上記の3.うつ病の原因<うつ病原因の一例>をご覧ください。
詳細は割愛させていただきます。

 

7.うつ病の予後と後遺症

適切な薬物療法、精神療法、生活の工夫、リハビリテーションなどで回復にいたる患者も多い反面、
再燃、再発、慢性化、難治化によって好ましい経過に到達しにくい症例も見られます。

 

 

※内容に誤りや情報が古いなどありましたらお手数ですがご一報ください。

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