手の痛み, 指の痛み, 痛み
8.162018
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の症状・原因・治療まとめ
1.ドケルバン病とは
手関節の橈背側(親指側)にある、母指伸筋腱と長母指外転筋との間で起きる腱鞘炎のことです。
橈骨茎状突起部と伸筋支帯とで形成される区画内を母指伸筋腱と長母指外転筋が通過し、炎症を起こす事により発症します。
50歳代と20歳代の女性に好発し、両側の発症は少ないが、利き手に多いとは限りません。
スイスの外科医ドケルバンにより報告され、その名前をとりドケルバン病とも呼ばれています。
・症状
親指や手首を動かすと痛み、腫脹や患部の圧痛があります。
特徴的な症状では、※親指を内側に入れて握りこみ、手首を尺屈(小指側)に曲げたときに特に痛みが強くでます。
※フィンケルシュタインテスト
・原因
指や手首の使い過ぎにより腱が炎症を起こし、腱鞘が肥厚し滑りが悪くなり痛みがでます。
妊娠の方や更年期の女性、手をよく使う人に多いです。
・治療
指の安静を目的としたテーピングや装具などで固定し、痛みが強ければステロイド剤の局所注射を行います。
保存的治療でも症状が良くならない場合は、腱鞘を切って広げる手術をすることがあります。
・後遺症
初期に安静にし原因となる運動をやめ、適切な処置を行えば、後遺症なく治癒します。
しかし、手や指をよく使ったりしていると痛みが残り、指や手関節の機能障害を残す事もあります。
2.ドケルバン病の症状
◆手関節橈背側の痛み
手や指を動かした時の動作時痛や、手関節橈背側部への圧痛があります。
親指を内側に入れて握りこみ、手首を尺屈(小指側)に曲げたときに特に痛みが強くでます。
◆手関節橈背側の腫れ
初期には手関節の橈背側中心に腫れがみられます。
炎症がひどい場合には、熱感を伴います。
◆可動域制限
手や指を動かすと痛みが出るため、可動域制限がでます。
何か物を握りこんだりするのが、困難になります。
3.ドケルバン病の原因
手や親指の使い過ぎによるものが多く、母指伸筋腱と長母指外転筋腱との間で炎症が起きることで発症します。
母指伸筋腱と長母指外転筋腱は、手関節橈背側にある筒状の形をした腱鞘の中を通ります。
この腱が使い過ぎにより炎症が出現し、腱鞘が腫れ、腱の滑りが悪くなり、痛みを生じます。
妊娠や更年期の女性に生じやすく、50歳代と20歳代の女性に好発します。
最近は携帯やゲームで、指を過度に使うことにより発症する人が増えています。
4.ドケルバン病の一般的な治療
手や指の使いすぎによる腱鞘炎になるので、手の安静が大切です。
軽症の場合には、消炎鎮痛剤や固定装具を用い保存的治療で改善していきます。
痛みが強い場合には、局所へのステロイド注射をすることもあります。
それでも痛みが長引く場合には、腱鞘を切開する手術を行います。
4ー1.保存療法
◆固定
テーピングや固定装具を用い、前腕中央部から指先までを固定し、約2週間安静を保持します。
軽症例では、この固定術で改善されます。
◆薬物療法
消炎鎮痛剤の投与や外用薬を用いて、痛みを和らげます。
患部へのステロイド注射を行うことで、痛みや腫れを軽減します。
繰り返しステロイド注射をする事で、腱断裂や皮膚が薬の影響で薄くなったりする事もあります。
短期間で注射を繰り返し打つ際には注意が必要です。
◆運動療法
痛みがでない範囲で、手や親指を動かしていき関節の動きを良くして、腱鞘が癒着することを防ぎます。
4ー2.手術療法
◆腱鞘切開術
第1伸筋腱区画遠位部を切開し腱鞘を広げ、狭窄されてるところを解放します。
切開した部位の近くに通る知覚神経が損傷され、術後にしびれが残る場合があります。
5.ドケルバン病の検査と診断
5ー1.視診・触診
手関節橈背側部の圧痛や腫れを確認します。
腫れが高度な場合には、手関節の捻挫に間違いやすいので、圧痛部位の確認が重要です。
フィンケルシュタインテストが陽性であれば本疾患を疑います。
親指を内側に入れて握りこみ、手首を尺屈(小指側)に曲げたときに特に痛みが強くでます。
[標準整形外科学引用]
5ー2.画像検査
レントゲンにて特に異常はないが、手関節橈背側部に痛みのある他の疾患と鑑別する際に有用です。
超音波やMRIを用いる事もあります。
6.ドケルバン病と間違いやすい疾患
手や親指はよく使う部位で、痛みも長引きやすいので、圧痛部位や症状を確認する事が重要です。
◆ 母指CM関節症
親指の付け根の関節の変形性関節症のことで、手首の母指の付け根付近に痛みが出ます。
◆関節リウマチ
手や親指をよく使用することで、関節が炎症を起こしやすいので鑑別が必要です。
◆キーンベック病
手根骨にある月状骨が潰れて骨が壊死し、手首に痛みや腫脹が見られ、握力が低下し、手首の動きが悪くなります。
7.ドケルバン病の予後と後遺症
手や指を使わないようにし、テーピングや固定装具を使用したり、原因となる動きを制限する事が大切です。
最近では、スマートフォンの使用によりドケルバン病を発症する人が多く、痛みが長引くこともあります。
よく手や指を使う人や、手首の親指側の痛みがあれば、専門医の受診をお勧めします。
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