痛み, 足の痛み
1.82018
女性に多いつま先の痛みと痺れ【モートン(モルトン)病】の症状・原因・治療まとめ
1.モートン病とは
足部の第3・4中足骨骨頭間(足の中指と薬指)に走行する足底趾神経が、肥厚し圧迫される事で、しびれや痛みが起きる絞扼性神経障害です。
マラソンをする人や幅の狭い靴、ハイヒールをよく履いて歩いたり、つま先立ちを長時間続ける人に多いとされます。
特徴は、足部に荷重をかけると、電気が走ったような痛みやジンジン、ピリピリなどのしびれや痛みがあることです。
90%以上が女性で特に中年以降に多く発生します。
第3・4中足骨間に多く発生しますが、第2・3中足骨間(足の人さし指と中指)や他の指の間でもみられる事があります。
重度では、足部の感覚がなくなる知覚障害が発生したり、完全に麻痺してしまうこともあります。
2.モートン病の症状
◆痛み
第3・4足趾間に圧痛があり、足部に体重をかけると灼熱痛(焼けるような痛み)が起こり、つま先立ちや歩行時に痛みが強くなります。
特に狭い靴やハイヒールなどを履くと痛みが強くなります。
痛みが強ければ、足先からふくらはぎまで痛みが出る事もあります。
◆しびれ
足の第3・4足趾間や第2・3足趾間、足先にかけてしびれを感じます。
チクチク、ピリピリ、ジンジンなど人により感じ方が違います。
◆知覚障害
しびれが出ている部位や足先の感覚が鈍くなったり、ひどくなると感覚がなくなり麻痺してしまう事もあります。
◆腫脹
症状が強ければ、神経が腫れてしこりのようになる神経腫が出来るため、足趾間の腫れがみられます。
3.モートン病の原因
【引用文献:柔道整復学・理論編 改訂第5版】
日常的につま先立ちや狭い靴、ハイヒールなどを履いたりする事により、足底の神経が地面と靭帯の間で圧迫されるため起こります。
圧迫部分の付近では、仮性神経腫という痛みの出る神経腫が形成されます。
第3・4足趾間の足底神経は、内側足底神経と外側足底神経の分枝が合流します。
第3・4足趾間の足底神経は、他の足底神経より太く、可動性に余裕がないため障害を受けやすく、この部位に好発すると考えられています。
扁平足や開張足など足部のアーチが崩れていると、さらに痛みやすくなります。
4.モートン病の検査と診断
◆問診、触診
痛みが出た時の状況を問診し、つま先立ちで痛みがでるのか、特に足先の狭い靴やハイヒールを履いていないかを確認します。
触診では、足趾間の圧痛部位やしびれの範囲を確認します。
チネルサイン(神経が障害されている場所を軽く叩くとしびれ、足先に痛みが広がる)があれば確定的です。
◆X線検査
骨折の有無を確認します。
◆MRI検査
骨折の有無や損傷程度、骨挫傷、出血の有無を確認します。
ある程度大きくなった神経腫は確認する事が出来ます。
◆筋電図検査
筋肉に異常がないかを確認します。
5.モートン病の一般的治療
初期には、足部アーチを安定させるために足底板や消炎鎮痛剤などの保存療法を選択します。
ステロイドの局所注射が有効で、大部分が軽快します。
保存療法で治癒困難な場合は、手術で骨間靭帯切離や神経腫切除術を行う事もあります。
◆保存療法
・安静
初期にはつま先立ち狭い靴、ハイヒールを履かないようにし、安静にするのが効果的です。
足部アーチの低下を防ぐ足底板のシューズへの挿入も効果的です。
・アイシング
初期には、患部のアイシングを行います。
・運動療法
患部に痛みが出ない範囲での、運動を行います。
足部の柔軟性を高めるために、足の指を曲げ伸ばしなどのストレッチを行い、患部に負担のかからない程度の運動を行います。
・薬物療法
初期にはステロイドの局所注射が有効で、炎症を抑える鎮痛薬や塗り薬なども処方されます。
◆手術療法
患部を圧迫している骨間靭帯の切離や大きくなった神経腫の切除術を行う事もあります。
6.モートン病の鑑別疾患(間違いやすい疾患)
※間違いやすい疾患を下記リンクページで確認することをお勧めします。
◆坐骨神経痛
坐骨神経を圧迫している場合にも、足の甲や足底に痛みや痺れが出る場合があります。
◆足根管症候群
何らかの原因により、足根管の内圧が高まる事により、足底やつま先などに痛みやしびれを引き起こす疾患です。
◆中足骨疲労骨折(行軍骨折)
陸上競技者など、繰り返し動作の多いスポーツ選手に多く、運動時に中足骨(足の甲)に痛みが出ます。
7.モートン病の予後と後遺症
狭い靴やハイヒールなど患部に負担をかける靴を履かないようにし、長時間のつま先立ちや中腰の姿勢をとらないようにすれば、予後は良好です。
足部のアーチを崩さないように足底板を挿入したり、足趾のストレッチなども有効とされます。
しかし、重度では知覚障害が発生し、足部の感覚がなくなる場合や、完全に麻痺してしまう事もるので、痛みが長引けば、専門医の診断を必ず受けてください。
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