腰痛, 足の痛み

休むと歩ける足腰の痛みとしびれ【脊柱管狭窄症】症状・原因・治療まとめ

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1.脊柱管狭窄症について

脳から伸びる脊髄という神経が通る管を脊柱管といいます。
脊柱間狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、その管が何らかの理由により狭くなり、様々な症状が起こっている状態を言います。

定義としては、下記のようになります。

「腰椎において神経組織と血管スペースが減少することにより,腰痛はなくてもよいが,殿部や下肢痛がみられる症候群」
引用文献:脊柱管狭窄症診療ガイドライン2011

分かりやすく言うと、「何らかの原因により、背骨の中の神経や血管の通り道が狭くなり、お尻や足に様々な症状がみられるもの」となります。

 

特徴的な症状として、立っていたり歩いていると徐々に足の痛みや痺れが起こり、休むと症状が治まる間欠性跛行(かんけつせいはこう)という症状です。
安静時に腰の痛みや足の痺れが起こることは少ないです。
他の症状にも尿が漏れたり出にくくなることや、便通が悪くなったり肛門の周囲がほてる症状があります。

主な治療は症状の進行や程度が著しくない場合では腰を固定したり、筋力トレーニングや薬物によって治療を行います。
症状の進行や程度が重度の場合では手術が考慮されます。

脊柱管狭窄症の中では2~3割程度の人が手術でない治療で症状が軽快します。
背骨の変形が進行している場合や症状が著しいときは手術によって骨を削ったりして変形部を取り除きます。

 

2.脊柱管狭窄症の症状

◆腰・足の痛み・しびれ

狭くなった脊柱管は神経を圧迫します。
そのため足・腰に痛みや痺れが起こります。
この症状は歩行や立っている際、徐々に症状が出てきます。

休息をとると症状が落ち着き、これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)といいます。

神経性跛行の定義
安静時症状がない場合の下肢症状 安静時症状がある場合の歩行による下肢症状
歩行開始時には存在しない 症状の範囲が拡大する
歩行を困難にさせるような性質のものである 安静時と異なった側に症状が出現する
短い休息により消失する 安静時と異なった内容性質の症状が出現する

参考文献:神中整形外科学第12版

 

◆筋力低下

神経の圧迫によりその神経が支配している領域の筋の力が落ちてきます。

◆直腸膀胱障害

圧迫が進行すると尿が漏れたり、出が悪くなるなどの膀胱障害が起こります。
他にも便の出が悪くなったり肛門周囲にほてりを感じることがあります。

 

3.脊柱管狭窄症の原因

脳から伸びて背骨を通る神経の通り道を脊柱管といいます。
なんらかの原因によりこの間が狭くなることを脊柱管狭窄症といいます。

原因としては、加齢や過労などで腰に負担がかかることにより椎間板が変形したり背骨の関節の異常、靭帯が肥厚したりすることで脊柱管が狭くなります。
圧迫を受ける神経の部位によって症状が変わるためいくつかの分類に分けられています。

3-1.脊柱管狭窄症の分類

 

 

◇馬尾型
馬尾とは腰椎の1番目から形成される神経の形をいいます。
馬の尻尾のように分かれた神経です。
この部位での圧迫を馬尾型といいます。

痛みがないのが特徴的で、しびれを主な症状とします。
足やお尻、会陰部に感覚の異常を生じ、他にも冷感や直腸膀胱障害、足の脱力感や男性では陰茎勃起を訴えます。
残尿検査が必要となります。

第4腰椎変性すべり症に伴って起こることが多いです。
そのため第5腰神経以下の多根性障害を呈します。
責任高位はL4/5椎間での第5腰神経以下の多根性障害が多い

◇神経根型
神経根とは脊髄から枝分かれした神経の根本のことを神経根といいます。
この部位での圧迫を神経根型といいます。

主な症状として足やお尻の痛みが起こります。
脊柱所見や自覚症状は単一神経根ブロックで一時的に消失し、アキレス腱反射の低下・消失がみられることもあります。

大多数で第5腰神経根が責任高位で、責任椎間はL4/5で責任椎間は1椎間です。

◇混合型
上記のものが複合したものを混合型と言います。

 

4.脊柱管狭窄症が起こりやすい疾患一覧

脊柱管狭窄症は体に起こっている状態を表したもので、実際の病気の名前とする意義はありません。
そのため他のなんらかの疾患により脊柱管狭窄症が起こっています。
それらの疾患として、
・腰椎分離すべり症
・椎間板ヘルニア
・腰椎の手術後
・外傷後
・先天性の異常
・Paget病
・フッ素沈着症

または、これらが複合したものなどがあげられています。

 

5.脊柱管狭窄症の検査と診断

5-1.問診等の検査

脊柱管狭窄症において間欠性跛行という特徴的な症状があります。
しかし閉塞性動脈硬化症による血管性の跛行も考えられるため鑑別が必要です。

5-2.画像検査

レントゲンにて他の疾患の有無を検査します
しかしレントゲンではある程度狭窄の進行状態を把握できる程度です。
そのためMRIや脊髄造影などを用いて詳しく検査することもあります。

 

6.脊柱管狭窄症の一般的な治療

症状が著しい場合や進行している時は手術が考慮されます。
そうでない場合は保存療法で経過を観察します。

6-1.保存療法

◇固定
歩行時には腰部を安定させるためにコルセットを用います。

◇リハビリ
腹筋や背筋などの筋力を強化したりストレッチを行います。

◇日常生活の注意点
背骨が真っ直ぐなる姿勢をできるだけとらないように指導します。
また、杖やシルバーカーを押して腰が丸くなるようにして症状がでないようにします。

◇薬物療法
痛みがある場合は消炎鎮痛などの薬を用いて痛みを取り除きます。
安静時でも痛みがある場合は直接神経にブロック注射を行うこともあります。

6-2.手術療法

保存療法で症状が軽快しない場合や症状の進行が認められる時は手術を考慮します。
主に狭くなっている部位を取り除く手術や、背骨の不安定性が認められるときは固定術なども行います。

 

7.脊柱管狭窄症と間違いやすい疾患

日常生活で症状を起こすことは少なく、歩行中も休息をとれば症状が軽快するため腰痛や足の痺れを主訴とすることが少ないです。
その他の症状である会陰障害や直腸膀胱障害に関する愁訴が多いです。

◆閉塞性動脈硬化症

主に足にある血管が慢性的に閉塞することで種々の症状が起こります
軽度の場合では冷感や足のしびれなどが起こり、進行すると足が壊死に至ることもあります。
両疾患とも中高年者に多い疾患です。

本疾患との類似症状として間欠性跛行があります。

鑑別方法として、
脊柱管狭窄症による間欠性跛行は立ち止っただけでは症状が軽快・消失しないということです。
血行性の間欠性跛行では立ち止ると症状が軽快・消失します。

すなわち、血行性の間欠性跛行は姿勢が関与しないということが言えます。
他にも足部での脈拍の有無などの確認を行いますが、両者が複合している場合や側副血行路が形成されている場合も考えられます。

◆糖尿病性神経症

血糖値の高い状態が続くと末梢の神経がダメージを受けて足に「びりびり」「じんじん」などといった感覚の異常が起こります。
本疾患との鑑別は血液検査や画像所見、症状の起こり方など詳しく問診・検査を行います。

同じ脊椎間でおこる脊髄性間欠跛行
稀な疾患ですが何らかの理由により脊髄に血流不全が起こり間欠性跛行を呈することがあります。

◆梨状筋症候群

坐骨神経は骨盤から足にかけて伸びる神経で、梨状筋という筋肉のトンネルを通ります。
何らかの原因により梨状筋が緊張すると坐骨神経を圧迫し足やお尻にしびれや痛みが起こります。
座る姿勢で悪化し、運転やしゃがみこんだ姿勢で特に悪化します。

 

8.脊柱管狭窄症の予後と後遺症

脊柱管狭窄症では保存療法で症状が軽減・消失するものは2~3割と言われています。
症状が改善しない、症状が強く進行しているなどが認められると手術が選択されます。

 

 

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