an's diary 杏の日記, 出産前後の知っておくべきこと, 妊娠・出産・育児で知っておくべきこと, 妊娠前後の知っておくべきこと
9.62017
妊婦の肩こりに危険なツボ【肩井】【合谷】について
1.妊娠中に鍼灸は安全か?
妊娠中の様々な症状に対してお悩みの方は多い事でしょう。
母体、胎児に余程の影響があると判断されない限り、病院の医師たちはほとんど治療することはありません。
皆さんも感覚的にお分かりの通り、妊娠中の治療によって、胎児にどのような影響が出るのかはっきりしていない部分がほとんどだからです。
病院の治療といえば頓服薬が多く、それは血液を通して全身に作用します。
ですから、お母さんの血液によって養われている胎児にどのような影響が出てもおかしくないということは多くの方が考えられることでしょう。
しかし、妊娠中は様々な症状が出ます。
つわり、腰痛、肩こり、めまい、足のつり…などなどなどなど。
体質や体調はもちろん、季節や生活スタイルなどによる環境因子なども含めれば多種多様を極めます。
そんなときの選択肢として、鍼灸治療を選ぶ妊婦さんが多いようです。
もちろん、鍼灸治療が効果的な症状はたくさんあります。
しかし、実は不勉強・不誠実な鍼灸師が多いという事実を覚えておいてください。
たとえば、以下のような鍼灸師が見受けられます。
「妊婦の月齢ごとに使ってはならないツボを知らない」
「人体の人知の及ばない部分に対する畏れがない」
「症状の出ている部分に鍼を刺すだけで、ツボの作用を知らない」
「妊婦にしてはいけないツボは知っているが、なぜ禁忌なのか知らない」
このような鍼灸師に出会ってしまっては、自分のカラダはもちろん、せっかく宿った小さな命も危険にさらすことになります。
ここでは、代表的な妊婦に危険なツボを2つご紹介します。
2.妊婦に危険なツボ【肩井けんせい】
1つ目は「肩井(けんせい)」というツボです。
【位置】肩幅を図る際の骨と、首を前へ倒した時に一番出っ張る骨のすぐ下の部分を結んだ中点。
【作用】理気降痰・疏経活絡
【主治】後頭部のこわばり・疼痛、肩背部痛、上肢の挙上困難、乳房部の腫瘍、難産、乳汁分泌不全、中風。
主治の『難産』『乳汁分泌不全』というところに注目してください。
現代医学的に難産とは、「分娩の 3 要素とされる産道 ・娩出物・娩出力のうち、一つもしくは二つ以上に異常があって分娩が困難になっている状態」とされています。(日本産婦人科学会参照)
赤ちゃんの通り道、赤ちゃん自身、お母さんの分娩力のいずれかもしくは2つ以上に異常がある場合に難産になるということです。
しかし、もっと単純に考えてみると、どのような原因であれ、「下りて出てくるべきものが下りてこない」という現象が難産であると言えると思います。
となると、東洋医学的な手段としては「下す・排出する」という傾向にカラダの状態を持っていくことが治療方針となります。
そして、「肩井」というツボはそのような作用を持っているため、主治として【難産】が挙げられているのです。
…もうお気づきだと思います。
難産の際に使うツボをまだ分娩時期を迎えていない妊婦さんに施すということは、流産させるツボと言い換えることができるのです。
東洋医学はリアルタイムで動いていくカラダの状態に合わせて、ツボを選び、適切な手技をほどこします。
ですから、同じツボであっても、その時の患者さんのカラダの状態によって、良くも悪くも働く可能性があるということです。
勉強している鍼灸師は、妊娠中に安易に肩井を使うことはまずありえません。
3.妊婦に危険なツボ【合谷ごうこく】
2つ目は「合谷(ごうこく)」というツボです。
【位置】手背の第1.2中手骨の間で、第中手骨頭側縁の中点。
【作用】鎮痛安神・通経活絡・疏風解表
【主治】頭痛、目の充血・疼痛、鼻出血、歯痛、顔面部の浮腫、咽喉部の腫脹・疼痛、指の痙攣、腕の痛み、口や眼のゆがみ、熱病で無汗のもの、多汗症、無月経、出産時の早期破水、赤痢。
とても有名なツボですね。
治療できる範囲も広いため、日常的に良く使われるツボだと思います。
しかし、妊娠周期によって鍼灸治療をしてはならない経絡(ツボ)というものがあります。
そこに誤って鍼灸をしてしまうと、胎児がうまく養われなくなります。
その為、胎児に大きな影響が出る場合もあります。
ですから、妊娠日数をこまめにチェックしていないと、うっかり合谷に鍼をしてしまうことも少なくないでしょう。
ちなみに、合谷が禁忌の妊娠日数は妊娠6ヶ月の時とされています。
4.まとめ
このように鍼灸治療で使うツボは時期によって危険を伴うこともあります。
もちろん、ツボに鍼灸や指圧をすれば必ず反応が起こるものではありません。
反応を起こすには、様々な条件があります。
それを意図的に揃えるのが”技術”なわけですが、偶然、条件が揃うことがあります。
意図していた場合は、少々間違っても自分が何をやったのか分かっているのでリカバリーも出来ます。
しかし、意図せず”偶然に揃ってしまった場合”は対応できません。
鍼灸の学校でこのようなことを教わることはほとんどありません。
このようなことは鍼灸師の免許取得後にきちんとした先生に付いて研修・修行しなければ分からないことなのです。
しかし、免許取得後に研修・修行する鍼灸師は5%にも満たないとも言われています。
それでも、きちんと勉強している鍼灸師が必ず存在することはまた事実です。
前述の通り、妊娠中の症状に対して、鍼灸治療が功を奏す症状は多くあります。
ぜひ誠実に勉強している鍼灸師を探してください。見つからない場合は、鍼灸治療はあきらめた方が良いでしょう。
自分自身と我が子の安全のために慎重に選択してください。
もし、今受けている鍼灸治療で、以下のチェックポイントに一つでも当てはまるようでしたら、
鍼灸師の変更、あるいは鍼灸治療の中止をおすすめします。
1.脈・腹・舌を診ないで治療に入る
2.合谷・肩井・内関を何の説明もなしに使用する
(→つわりを軽減するツボ「内関(ないかん)」の危険性について)
3.最低『医心方 巻22 胎教出産篇』を読んでいない
4.症状が出ている局所のみに治療をする
5.妊娠日数をこまめにチェックしない
妊娠中、症状が辛く、良い鍼灸院を探したいという方はこちらをご参考下さい。
杏総合治療所のつわりの症例記事はこちらです。
参考文献:
天津中医学院 季丁(1986)「針灸経穴辞典」(浅川要ほか訳)東洋学術出版社
丹波康頼(984)『医心方 巻二十二 胎教出産篇』槇佐知子訳
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