足の痛み

【捻挫と間違えることもある足の痛みと腫れ】果部骨折の症状・原因・治療まとめ

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1.果部骨折について

果部とは下腿にある脛骨と腓骨の下端部をいいます。
それぞれ腓骨の下端部を外果と言い、脛骨の下端部を内果と言い、「くるぶし」とも呼ばれています。

この部位の骨折を果部骨折と言い、多くは高所からの飛び降りや跳躍、転倒や事故などの大きな外力によって発生します。
靭帯の断裂などを伴うため脱臼骨折となりやすいです。

下腿の骨折では最も多い骨折です。

転位の少ない場合や内・外果どちらか一方の骨折、脛腓関節の完全離開がない場合では保存療法が選択されます。
重度の顆部骨折では手術療法が適用となります。

転位が整復されない場合には足関節に動揺性が残ったり、変形性足関節症へと進展することが多いです。

 

2.果部骨折の症状

◆足部の痛み

骨折部に激しい痛みが生じます。

◆腫れ

骨折部に応じた高度な腫れが起こります。

◆可動域制限

痛みのために足関節を動かすことができなくなります。
荷重ができなくなり歩行が困難となります。

 

3.果部骨折の原因

足部が固定された状態で、下腿と足の間に捻転力や回旋力、軸圧力が加わり受傷します。
高所からの飛び降りや跳躍、転倒や事故により発生することが多いです。

スポーツ時での骨折も多発します。

受傷の仕方によっては内果・外果・後果・さらに足内・外側や脛腓骨間にある靭帯の断裂を伴い脱臼骨折となることもあります。

 

4.果部骨折の分類

果部骨折では骨折時の肢位や足部に加わる力の方向によって損傷を受ける骨が異なります。
そのため果部骨折には多くの分類があります。
今回はその中でも最も広く用いられているラウゲ・ハンセンの分類について紹介します。

◆Lauge-hansen分類

最初の言葉が足部の肢位(回内・回外)、次の言葉が足部にかかる力の方向(内外転・内外旋・背屈)を表しています。

・回外・外旋損傷
受傷時の足部は回外位で固定で、距骨は外旋強制されます。
もっとも頻度が高いです。

stage1:前脛腓靭帯の断裂あるいはその付着部の裂離骨折
stage2:腓骨遠位部の螺旋骨折
stage3:脛骨後果の裂離骨折
stage4:内果骨折あるいは三角靭帯の断裂

 

・回外・内転損傷
受傷時の足部は回外位に固定され、足に内転力がかかり起こります。
stage1:外側側副靱帯の断裂や外果部の横骨折
stage2:脛骨内果部の斜骨折

 

・回内・外旋損傷
受傷時の足部は回内位に固定され、足に外旋も力が加わって起こります。
stage1:内果骨折あるいは三角靭帯の断裂
stage2:前脛腓靭帯の断裂
stage3:腓骨の高位骨折
stage4:後脛腓靭帯の断裂・後果の骨折

◇Dupuytren(デュプイトラン)骨折
内果骨折・遠位脛腓関節の完全離開・腓骨骨幹部または頚部の螺旋状骨折を合併したものをデュプイトラン骨折と言います。

 

・回内・外転損傷
受傷時の足部は回内位に固定され、足に外転力が加わって起こります。
stage1:内果骨折あるいは三角靭帯断裂
stage2:小骨片を伴う前脛腓靭帯の断裂・後果骨折
stage3:腓骨果上部の斜骨折

 

◇Pott(ポット)骨折
三角靭帯の断裂と距骨の外方亜脱臼を伴う腓骨遠位端部の骨折をポット骨折といいます。
Lauge-hansen分類の回内・外転損傷stage3に当てはまります。

 

・回内・背屈損傷
回内位の状態で足部に強力な背屈力が加わり発生します。
軟骨損傷も伴い予後は悪いです。
stage1:内果基部骨折
stage2:距骨の前方亜脱臼・脛骨遠位端部骨折
stage3:腓骨骨折
stage4:脛骨後部の横骨折

 

・コットン骨折
両果骨折・脛骨後果骨折の三果を骨折したものをコットン骨折と言います。
Lauge-hansen分類においては回外・外旋損傷stage3.4、回内・外旋損傷stage4、回内・外転損傷stage2.3にみられます。

 

5.果部骨折の検査と診断

◆視診・触診

骨折部には高度な腫脹が認められます。
転位している場合は変形や異常可動性がみられます。

◆画像検査

レントゲンにて骨折の有無や転位方向の確認を行います。
固定中も再度レントゲンにて転位の有無を確認し治療を行います。

 

6.果部骨折の一般的な治療

強力な外力により発生するため多くは手術療法が選択されます。
しかし、脛腓間の離開が認められず、内果か外果の一方だけの骨折で、転位が2mm以内のものは保存療法が適応となります。
固定中、腫脹などにより転位が認められた場合は手術が適応となります。

◆保存療法

・固定
足関節中間位にて下腿上方から足尖まで5~6週間のギプス固定を行います。

・運動
下腿や足部の筋肉の拘縮を防ぐために運動を行います。
レントゲンにて骨癒合が認められたら徐々に運動をします。

◆手術療法

骨折部の転位方向に応じて整復が行われ、プレートやボルトによる内固定が行われます。
手術は外果→後果→内果と行われるのが一般的です。

7.果部骨折の鑑別疾患

◆第5中足骨骨折

小指側の中央にある骨の骨折です。
足部を捻った際に受傷することが多いです。

◆外側・内側靭帯損傷

軽度の果部骨折では捻挫と間違われやすい疾患です。
捻挫なのか骨折なのかにより治療期間や固定の強度なども変わるため注意が必要です。
発生頻度は外側靱帯損傷の方が高いですが、骨折に至るのは内側靭帯の損傷が多いです。

外側靱帯損傷についてはこちら

 

 

8.果部骨折の予後と後遺症

転位のないものや軽度のものでは予後は良好です。
重度の骨折や転位の大きいもの、脛腓関節の離開が伴う場合は回復が難しくなり予後も不良となります。
足関節の動揺性が残ったり、変形性足関節症へと進展することが多いです。

 

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