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【間違いやすい少年の膝の痛みと腫れ】脛骨顆間隆起骨折の症状・原因・治療まとめ

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1.脛骨顆間隆起骨折とは

脛骨顆間隆起は、下腿骨の脛骨上部にあり、前十字靭帯の付着部です。

スポーツや転倒した際に、前十字靭帯が過度に伸ばされ、付着部である脛骨顆間隆起部が裂離骨折するものです。

広い年齢層にみられますが、10歳前後の小児に多いです。

小児は脛骨の骨端形成が不完全で、骨化が進んでいません。

骨化が進んでいない、脆弱な顆間隆起部に前十字靭帯の牽引により損傷する事が多いです。

成人でも顆間隆起骨折になる事もありますが、前十字靭帯損傷になることが多く、半月板損傷や脛骨顆部骨折等を合併した、複合損傷が多いです。

症状は前十字靭帯断裂に似ているので、前十字靭帯損傷がないかを確認する事が大切です。

 

2.脛骨顆間隆起骨折の症状

◆痛み

受傷時から、膝に激しい痛みが起こります。

◆膝関節の腫れ

膝関節部に激しい腫れが認められます。

時間とともに関節内に血腫が溜まり、膝関節全体が強く腫脹します。

◆可動域制限

痛みのため膝関節を曲げた状態のままで、膝を伸ばす事が出来なくなり、歩行が不能になります。

◆動揺性

前十字靭帯損傷と同様に、膝関節の前方への動揺性が出現し、特有の引き出し症状が出ます。

 

3.脛骨顆間隆起骨折の原因

前十字靭帯損傷と発生機序は同じで、スキーなどのスポーツ活動中に、足のつま先に対し、膝が内側に入るような動作を行うと前十字靭帯が過度に牽引される事で骨折します。

交通事故で膝を強打した際や、自転車やバイクでの転倒時や、田んぼや溝などへの転落があったときに多く発生します。

主な動作として、

・ジャンプの着地

・急な方向転換

・ストップ動作

・膝上へのタックル

などで受傷します。

 

◆脛骨顆間隆起骨折の分類

側面X線での、剥離骨片の転位の程度により病態が分類され、3型4種に分けられます。

代表的な分類法に下図のMeyers-Mckeever(メイヤーズ、マッキーバー)分類がよく用いられ、治療法選択の指標となります。

 

【引用文献:柔道整復学・理論編 改訂第5版】

基本的には、1型、2型に対しては膝関節を軽く曲げた状態から、伸ばす事で転位が整復され、骨折片が安定するため、保存療法適応となっています。

2型でも前方動揺性が強い場合、骨片が膝に挟み込み、膝を伸ばすのが不能な場合、3型については、手術の適応となります。

 

4.脛骨顆間隆起骨折の検査と診断

◆視診・触診

骨折時特有の症状が起こります。

膝周囲の骨折や靭帯、半月板損傷の有無を確認します。

特に前十字靭帯損傷に伴う、前方引き出しの有無を確認します。

◆画像検査

レントゲンで骨折の有無や他の骨折を検査します。

MRIやCTでは軟部組織損傷の有無や骨折の転位方向を検査します。

前十字靭帯損傷を伴っている例もあるので、MRI検査は必要です。

◆ 注射器による関節液の吸引

膝関節内で靭帯損傷や骨折があれば、吸引した関節液に血液が混じるので、靭帯損傷や骨折の有無を確認出来ます。

 

5.脛骨顆間隆起骨折の一般的治療

1型、2型共に転位が軽度の場合は、保存的に治療を行います。

1型や2型でも、骨片が膝に挟み込み完全に膝を伸ばせないもの、動揺性があるもの、3型は手術の適応です。

◆保存療法

・整復

骨折部を元の位置に整復します。

・安静

初期には安静にします。

松葉づえを用いて荷重をかけないようにします。

・固定

膝関節軽度屈曲位で、約4~8週間のギプス固定をします。

・運動療法

長期の固定となり、膝関節周囲の筋が痩せて硬くなるため、急性期を避けて早期に運動を行います。

主治医と運動負荷の設定や確認をした上で、膝の曲げ伸ばしの可動域訓練や、歩行訓練が中心となります。

◆手術療法

スクリューやプレートによる固定を行います。

骨片や前十字靭帯に鋼線をかけ、締結する(Lee法)や骨片が大きければネジ固定を行います。

関節鏡視下に整復し、骨片や前十字靭帯に糸を通して固定する方法もあります。

 

6.脛骨顆間隆起骨折の合併症

◆前十字靭帯損傷

発生機序が同じなので、注意が必要です。

小児は、前十字靭帯損傷よりも脛骨顆間隆起骨折を疑います。

◆脛骨プラトー骨折

脛骨上部の骨折なので、合併して骨折しやすいです。

 

7.脛骨顆間隆起骨折の予後と後遺症

転位が軽度であれば、予後は比較的良好で後遺症を残すことはほとんどありません。

転位が高度な場合と、骨折を放置され陳旧化したものは、膝の曲げ伸ばしの制限や関節が不安定になり、脛骨の前方引き出しなどの関節の動揺性が残る事もあります。

 

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