an's diary 杏の日記, 下痢, 感染症
10.102017
ノロウイルス感染症の症状・原因・治療まとめ
1.ノロウイルス感染症とは
冬場の食中毒の原因に多い
「ノロウイルス」というウイルスが原因で起こる感染性胃腸炎や食中毒の事です。
一年中通して発生しますが、特に冬場に多く12~1月がピークで、11月~4月までが年間の80%を占めます。
2.ノロウイルス感染症の原因
「ノロウイルス」と呼ばれる小腸の粘膜で増えるウイルスが原因です。
ノロウイルスは感染力がとても強くで、ウイルスが100個以下しかなくても感染してしまいます。
感染は人、食品、消毒されていない水など
ノロウイルスは人から人、人から食品、食品から人などの経路で感染します。
具体的には
・感染している二枚貝(カキなど)を生や加熱が不十分な状態で食べる
・食品を取り扱う人がウイルスに感染していて、その取り扱った食品を食べたり、調理器具や食器を介して
・家族などがノロウイルスに感染していて、その便や吐いた物を片付けて手や指に付着する
・床やじゅうたんの上に吐いた物の消毒が不十分で、それが乾燥して空気中に舞い上がり吸い込む
・ノロウイルスに汚染されている井戸水や水道水を消毒されていない状態で飲む
などが挙げられます。
アルコール消毒や熱にも強い
アルコールや40℃くらいの熱でも死活せず、乾燥や酸にも強い特徴があります。
また、水の中でも生息するため注意が必要です。
・二枚貝などの調理は80~90度で1分半以上加熱してしっかり火を通す
・手洗いは逆性石けん、消毒用エタノールもあれば使う
・調理器具や便や吐いたもので汚染されたものは、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)か熱湯(85度以上)で1分以上加熱
子どもから高齢者までかかります
全年齢の人がかかる可能性があります。特に乳幼児や高齢者は症状がひどくなりやすいので注意が必要です。
3.ノロウイルス感染症の症状
【潜伏期間】
感染してから発症するまでの潜伏期間が大体24~48時間です。
【症状】
子どもは嘔吐、大人は下痢
吐き気、嘔吐、腹痛、水の様な下痢が主な症状です。
突然起こる嘔吐が特徴です。
子どもは下痢より嘔吐が、大人は下痢が症状として強く出る傾向があるようです。
37~38℃の発熱、頭痛、筋肉痛が起こる場合もあります。
4.ノロウイルス感染症の診断と検査法
【診断】
通常は臨床症状や周りの感染状況などから総合的に判断して、ノロウイルスとして診療されます
・臨床症状
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状
・周りに感染源はなかったか
家族や周囲で感染した人がいないか、二枚貝や消毒していない水を口にした覚えはないか等
・簡易キット検査(ノロウイルス抗原検査)
便を使ってウイルスを検査するもので、3才以下と65歳以上の人には健康保険が適用されます。
医師が必要と認めた時に行われますが、感染していても陽性とでない場合もあるため「感染していない事」を確認することはできません。
・ウイルス学的検査
電子顕微鏡やPCR法という遺伝子を検出する方法を行います。
これは病院などの医療機関では行われず、食中毒の原因を明らかにするために行政機関や研究機関で行われます。
5.ノロウイルス感染症の鑑別疾患
【食中毒を起こすその他の原因】
・サルモネラ菌
十分に加熱していない肉・魚・卵などが原因となります。
食後6~48時間くらいで吐き気や腹痛、下痢などの症状が出ます。
・黄色ブドウ球菌
傷のある手で食べ物を触ると食べ物に菌がつきやすくなります。
食後すぐ、30分~6時間で吐き気や腹痛などの症状が出ます。
・腸炎ビブリオ菌
生魚や貝類などの魚介類が原因となります。
食後4~96時間(4日)と幅がありますが、激しい腹痛と下痢などの症状が出ます。
・カンピロバクター
加熱が不十分な肉、飲み水、生野菜が原因となります。ペットから感染する場合もあります。
食後2~7日後に下痢、吐き気、腹痛、発熱、筋肉痛などの症状が出ます。
・E型肝炎ウイルス
加熱が不十分な豚肉や内臓を食べる事が原因となります。海外で生水や生もので感染する事もあります。
ほとんどの場合は症状が出ませんが、一部の人に感染から6週間後くらいにだるさや皮膚が黄色くなる、熱が出るなどの症状が見られます。
・病原性大腸菌O157
加熱が不十分な肉、飲み水、生野菜が原因となります。
食後3~8日後に腹痛、水様便、さらに血だけのような便になるなどの症状が見られます。
・ウェルシュ菌
加熱調理した後室温で冷まし、また再加熱するのを繰り返した食品によく見られます。(カレー、シチューなど)
食後8~20時間でお腹が張る、腹痛、下痢などが起きますが、嘔吐や発熱はあまりなく、ほとんど1日で治ります。
・セレウス菌
「嘔吐型」はチャーハン、ピラフ、焼きそば、スパゲッティなどが原因になりやすく「下痢型」はどの食品でも起こります。
日本では嘔吐型が多く、食後1~5時間で吐き気、嘔吐、腹痛を起こします。
下痢型は食後8~16時間で腹痛、下痢が起こります。
・エルシニア・エンテロコリチカ(菌)
肉(特に豚肉)、殺菌されていない水、ペットが触った食品も原因になります。この菌は冷蔵庫でも増えるので注意が必要です。
食後2~5日で、発熱、腹痛、下痢などの症状を起こします。年齢が高くなるにつれて、他にも症状が現れる事があります。
・ボツリヌス菌
いずしや缶詰、瓶詰など、長期保存されやすい自家製の食品が原因になります。乳児ボツリヌス症の主な原因としてはハチミツが知られています。
食後8~36時間に嘔吐、下痢、うまく話せない、呼吸がしにくいなどの症状が見られ、呼吸困難で死亡する場合もあります。
乳児のボツリヌス菌感染では、便秘、おっぱいの吸い方が弱い、泣き声が弱い、無表情、首や手足の筋力が落ちるなどの症状が見られます。
・ビブリオ・バルニフィカス(細菌)
特に夏の、生や加熱が不十分な魚介類が原因になります。
健康な人は下痢や腹痛を起こすことはあっても心配ありません。
しかし、肝臓疾患のある人やステロイド入りの薬を飲んでいて免疫が低下している人、貧血で鉄剤の服用が必要な人などは注意が必要です。
・アニサキス(寄生虫)
サバ、サンマ、アジ、イワシ、ヒラメ、サケ、カツオ、イカ等の魚介類の刺身(生魚)や、-20℃以下で24時間以上の冷凍処理をしていないシメサバなどが原因になります。
食後数時間~10数時間でみぞおちの激しい痛み、吐き気、嘔吐を起こし、その後激しい下腹の痛み、腹膜炎※1症状を起こすこともあります。
※1 腹膜は腹腔内(おなかの中)を覆う膜です。始めは腹痛、そのうち吐き気、嘔吐、脈が速くなる、発熱などが見られ、ひどくなると脱水、ショック状態になる場合もあります。
お腹を抑えると痛い、お腹を触るとひどく緊張している、お腹を押さえた時より手を離したときの方が痛みがひびくなどの徴候が確認されます。
(参考:農林水産省HP)
6.ノロウイルス感染症の一般的な治療
ウイルスに対する治療薬はありません。
・水分補給
症状に対する方法として、経口補水液などで水分補給をし、安静にしましょう。
炭酸飲料やスポーツドリンクは、電解質とブドウ糖の割合が適正でないため、5歳未満の子どもには適しません。ジュースや牛乳なども避けましょう。
乳児で母乳を飲んでいる場合は、母乳を飲ませましょう。
水分がとれない、脱水症状が見られる場合は病院で輸液が必要となる場合もあります。
・止瀉薬(下痢止め)は使わない
下痢止めはウイルスを体内にとどめてしまい、回復を遅らせるので使用しない方がよいでしょう。
・乳酸菌製剤
腸内を整える効果が期待できます。
・食事
嘔吐がおさまって、水分をとっても吐かなくなってきて、食欲が戻ってきたら少しずつ食べましょう。それまでは水分補給だけで大丈夫です。
7.ノロウイルス感染症の予後と合併症
【予後】
通常は症状が1~2日続き、そのまま治ります。
後遺症もありません。
健康な人であれば、症状が出ない場合や軽い風邪のような症状で終わる場合もあります。
ただし、元々病気で弱っていたり、乳幼児やお年寄りなどでは症状が強く出たり長引くこともあるので注意しましょう。
【合併症】
・重症の脱水症状
・脳症※2
※2 何らかの原因で脳にダメージを受け、意識障害、麻痺、けいれん、発熱などの症状が起こる
また、特に乳幼児やお年寄りでは
・吐いた物が喉につまって窒息する
・吐いた物が肺にあやまって入って肺炎を引き起こす(誤嚥性肺炎)
などが起こりやすく注意が必要です。
関連記事:
【下痢と腹痛】腸管出血性大腸菌O157の症状・原因・治療まとめ
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