an's diary 杏の日記, 膝の痛み
10.112017
スポーツ競技者の膝の前の痛み【ジャンパー膝】の症状・原因・治療
1.ジャンパー膝について
ジャンパー膝とは、太ももの前にある大腿四頭筋が付着する部分や腱に負担がかかり炎症が起こった状態をいいます。
別名膝蓋腱炎・大腿四頭筋腱炎ともいいます。
ジャンプする際、膝には大きな負担がかかり炎症が起こりやすいためこの名前が付きました。
ある程度軟骨から骨に成長し、運動量も多い15~20代の男性に多いとされています。
痛めやすい主な動作として、ジャンプ・ダッシュ・キック(サッカー)などがあります。
2.ジャンパー膝の症状
◆膝の痛み
膝蓋骨に付く四頭筋腱や膝蓋靭帯に微少断裂が起き炎症が起こるため痛みがあります。
◆動き始めの痛み
筋の緊張により動き始めに痛みが起こります。
徐々に痛みは消失しますが、長時間運動を続けた場合は悪化します。
炎症が起きている状態では、階段の登りや立ち上がりなどでも痛みが起こります。
◆動作中の痛み
主にジャンプ・キック・ダッシュなどの動作は負担が大きくかかるため痛みがでます。
特にジャンプ着地時の痛みが強いです。
◆圧痛
押さえたときに痛みがあります。
主に3部位に分かれて痛みがでます。
◆腫れ
腱又は腱付着部に炎症が起こり腫れを確認できることがあります。
◆熱感
炎症反応により触ると熱を感じます。
◆発赤
腫れや熱感を感じる部位の皮膚が赤くなります。
◆太ももの筋肉の突っ張り感
大腿四頭筋が緊張しているため動作時などに突っ張った感じがあります。
◆症状に応じた4期の分類
ジャンパー膝では症状に応じた分類があり4つに分かれます。
stage | 症状 |
1 | 運動の後だけ痛みがある |
2 | 運動開始時に痛みが生じるが、運動継続により徐々に消退し、運動後に再び痛みが生じる |
3 | 痛みが上記のものよりも長く続くが、十分な運動ができるもの(3a)できないもの(3b)に分かれます |
4 | 膝蓋腱の断裂 |
3.ジャンパー膝の原因
原因となる動作の繰り返しにより腱部に慢性的なストレスがかかることにより発症します。
腱部の変性がおこり、石灰化を起こすこともあります。
重度の場合、腱が断裂します。
◆ジャンパー膝を起こしやすいスポーツ一覧
・バスケットボール
・バレーボール
・陸上競技
・サッカー
などの大腿四頭筋が強く収縮するスポーツに多いです。
4.ジャンパー膝の診断と検査
◆触診
炎症が起こっている部位に圧痛や熱感があるか検査します。
◆画像検査
レントゲンにて石灰化や他の疾患がないか検査します。
5.ジャンパー膝の鑑別
◆オスグットシュラッター病
膝蓋靭帯が付着する脛骨粗面が牽引力により骨の膨隆や炎症が起こります。
◆タナ障害
胎生期にある滑膜のひだが退化せずそのまま遺残したものを滑膜ひだといいます。
このひだが膝蓋骨と大腿骨に挟まれ痛みや引っかかりなどの症状が起こります。
◆シンディング・ラーセン・ヨハンソン病
膝蓋骨の下端部に骨片や石灰化が起きる病気です。
◆離断性骨軟骨炎
大腿骨の関節面が骨本体から離断する病気です。
若年性と成人性があります。
◆脛骨粗面剥離骨折
膝蓋靱帯が付着する脛骨粗面の骨が剥離することをいいます。
骨が未成熟の小児に多い障害です。
6.ジャンパー膝の一般的な治療
◆保存療法
・安静
炎症期は原因となる動作の中止します。
・固定
サポーターやテーピングなどで軽度固定します。
・冷却
炎症が起こっている部位を冷やします。
・薬物療法
ステロイド注射
痛みのある腱部に炎症を抑える薬を入れます。
しかし頻回に行うと腱の脆弱化をきたします。
消炎鎮痛薬
湿布や塗ぐ薬など
◆手術療法
変性のある部位を切除する手術を行う場合もあります。
◆ステージ別の治療
・Ⅰ~Ⅲの治療
基本的に保存療法が中心となります。
Ⅲの場合は治療に時間がかかる
・Ⅳの治療
変性をきたした腱の切除や、断裂した腱の再建術を行います。
7.ジャンパー膝の予後と後遺症
予後は比較的良いです。
基本的に患者さんの管理が重要となります。
そのため安静にせず原因となるスポーツを続けていると再発することもあります。
◆自宅で出来る簡単なケアの方法一覧
・アイシング
ズキズキ痛む場合や運動終了後にはアイシングを行います。
・ストレッチ
炎症期は基本安静にします。
そのためストレッチなどの負荷のかかることも中止します。
炎症期が過ぎれば徐々に運動前・後や自宅でストレッチを行います。
・温め
炎症期が過ぎてからお風呂などで温めます。
・長期の休み
治りきらないうちに運動を開始すれば再発します。
そのため一定期間休みを取ることも重要です。
しかしレギュラー争いなどの関係で休めないという患者さんもいますが、長く続く場合はチームの監督などに相談しましょう。
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