膝の内側の痛みと腫れ【鵞足炎（鵞足滑液包炎）】の症状・原因・治療まとめ

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１．鵞足炎（鵞足滑液包炎）とは

鵞足とは３つの筋肉が合わさって膝の内側に付着する部位をいいます。
半腱様筋・薄筋・縫工筋という筋肉が付着します。
この部位に負担がかかり筋肉の付着部、又は滑液包に炎症が起こることを鵞足炎（鵞足滑液包炎）といいます。
しばしば変形性膝関節症に伴って鵞足滑液包に炎症が起こることもあります。

スポーツ選手に多く、ジャンプやダッシュなどの動作時に膝の内側に痛みや腫れが起こります。

２．鵞足炎（鵞足滑液包炎）の症状

◆膝の内側部の痛み

鵞足は膝にあるお皿のやや下内側にあります。
そこに痛みが起こります。

◆圧痛

膝の内側を押さえると痛みが生じます。

注：上図の場合、鵞足滑液包の部位です

◆運動後の痛み

激しい運動や長時間の運動後に痛みが起こります。
初期には運動開始時や運動後のみの痛みが、放置するにつれ、痛みを感じる頻度や強さが増加します。

◆動作時の痛み

初期には動作開始時や、ジャンプやダッシュなど限られた動作時に痛みがあります。
悪化すると階段の昇降時、日常動作にも支障がでます。

◆安静時の痛み

負荷をかけなくても痛みが生じることもあります。

◆腫れ

炎症に伴い膝の内側が腫れてきます。

◆熱感

炎症部に触れると熱を感じます。

◆発赤

炎症部の皮膚が赤くなります。

３．鵞足炎（鵞足滑液包炎）の原因

基本的にはオーバーユース（使いすぎ）によるものです。
日々の負荷（ジャンプ・ダッシュ・膝の屈伸動作）によって発症します。
膝が内側に捻られるような動作時に痛みが発症することもあります。
この場合、靭帯などの損傷を伴う可能性もあります。

◆その他の要因

・姿勢の異常
足先が外側に、膝が内側に捻られるような姿勢で、鵞足部に牽引力がかかります。
Ｘ脚（内また）のような姿勢は悪化の要因となります。

４．鵞足炎（鵞足滑液包炎）の検査と診断

◆触診

圧痛部位や靭帯損傷の有無をチェックします。

◆画像検査

レントゲンやＭＲＩでの撮影を行い、骨の異常や軟骨の以上の有無を確認します。

５．鵞足炎（鵞足滑液包炎）の一般的な治療と予防

◆保存療法

・安静
原因となる運動の中止し、痛みがあるときは安静にします。

・アイシング
炎症が起きている場合は氷水などで冷やします。

・固定
テーピングやサポーターで軽度固定します。
過度な屈伸や内側に捻じられないようにサポートします。

・足底板（インソール）
足裏にクッションを入れ、重心の偏りを調節します。

・薬物療法
ステロイド注射や消炎鎮痛薬（湿布・塗り薬）で炎症を抑えます。

◆一般的な予防

・ストレッチ
炎症期が過ぎ、症状が落ち着いてから運動を開始する前後にストレッチをし、筋を伸ばします。
しかし過度にストレッチを行うと再発することもあるので注意しましょう。

・練習後のアイシング
練習量の多い場合は練習後にアイシングをします。

・温熱
お風呂などで十分に温めます。
これも炎症期には避ける方が良いです。

６．鵞足炎（鵞足滑液包炎）の鑑別疾患

◆内側側副靱帯損傷

膝の内側にある靭帯の損傷です。
鵞足と同じ部分を走行するため鑑別が難しいです。

◆突発性膝骨壊死

原因不明の病気で、女性に多い疾患です。
６０歳以上の中高年に多く、膝の内側に多い痛みを生じます。

◆変形性膝関節症

加齢に伴う関節軟骨の退行を基盤に、変形が起こります。
内側に痛みが生じることが多く、鵞足滑液包炎を伴うこともあります。

◆内側半月板損傷

関節内にある軟骨の損傷です。
膝が内側に捻られるように受傷することもあります。
鵞足ぶよりやや上に痛みが生じます。

◆滑膜ひだ障害（タナ障害）

胎生期にできる滑膜のひだが遺残したものを滑膜ひだといいます。
これが膝蓋骨と大腿骨の間に挟まれ膝の内側に痛みが生じます。
鵞足部よりやや上に痛みが起こります。

７．鵞足炎（鵞足滑液包炎）の予後と後遺症

予後は良好です。
患者さんの管理が重要となります。
原因となる動作の反復、、練習量が多い場合は再度受傷・再発することがあります。

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