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小児鍼で通院中のＭのママが、「気持ち悪くてごはんが食べられない」と言います。

脈を診てみると、妊娠してるっぽい。

そう告げると、「脈で妊娠が分かるんですか？」とＭママ。

「だいたいね。」と私。

と言う訳で、つわりの治療をして気分が良くなったので、もう一度脈を診てみました。

すると、ノイズが消えて明確になってくるので、やっぱり「ぽい」。

注意事項を与えて２～３日後にもう一度診せて貰うことにしました。

東洋医学の重要な診察法に『脈診』があります。

現代医学でも脈を診ますが、スピードとリズムくらいです。

東洋医学ではそれに加えて、強さ、大きさ、太さ、硬さ、性状、偏りなども診ます。

様々な情報を与えてくれるとても便利な診察法です。

脈診は、リアルタイムで患者さんの外からは視えないカラダの状況が追えます。

そのため、危険な状況を回避するのにも役立ち、今までにもずいぶん助けられてきました。

私などは、現代医学の医師が、『脈診』をしないで患者さんを診察して帰すのが恐ろしく感じるくらいです。

このように大変便利で有用な『脈診』です。

しかし、残念なことに、鍼灸師に実施したあるアンケートによると、

「普段の診療で脈診を活用している」と答えた鍼灸師は、１割程度だったそうです。

私は、この結果は、学校教育に問題があるからだと思っています。

業界では「脈診３０年」と言って、身に付けるのに膨大な時間とセンソリティの必要なものとされています。

脈診をことさら難しいものとしてあがめ奉っているのです。

こんな言葉を教育者達が真に受けて、自分たちも使えないが為に生徒達にも教えられないのだと思います。

『教えている』と言うかも知れませんが、アンケートの結果を見れば、『教えた』というだけで、『伝わっていない』のは確実でしょう。

『脈診』は決して難しいモノではありません。

実際、当治療所の研修生達は、特訓を施した訳でもありませんが全員が使えます。

教え方の問題だと思います。

一つヒントを言うと、漢方医は誰も「脈診が難しくて使えない」とは言わないと言うことです。

医師の方が鍼灸師よりセンシティヴィティが全員、優れているのでしょうか？そんな訳無いですよね。

はっきり言うと、診察、治療と言うことに対する理解のレベルが、鍼灸師は医師に遠く及ばないからです。

もっと言うと多くの鍼灸師のレベルが低いからです。

しかし、これは意識の問題なので簡単に克服することが出来ます。

2014.3.12追記：付け加えると、鍼灸という即効性のある技法を持っている分、漢方医が脈診を修得するよりもはるかに有利です。

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