an's diary 杏の日記, 耳鳴・難聴
10.252017
聴覚過敏の原因と治療まとめ
1.聴覚過敏について
聴覚過敏とは、一般の人では不快と感じない音を、不快と感じる症状です。
音が響くや割れる、エコーがかかると表現され、耳痛を伴うことが多いです。
聴覚過敏が起こるメカニズムとして考えられるものは、
・耳小骨筋・鼓膜張筋の反射異常
・内耳の反応異常
・聴覚の感度の上昇
などによる音に対する耐性が減弱、音量に対する認知障害によるものとされていますが、詳しいことは分かっていません。
多くは内耳障害に伴って起こります。
他にも心理的要因や感染説、中枢要因などがあげられていますが詳しい分類は定まっていません。
これらの要因が考えられる場合は原因疾患に対する治療が行われます。
耳の生理的な問題だけでは説明のつかない部分もあり聴覚過敏単独の治療法は確立していないのが現状です。
2.聴覚過敏が発症しやすいポイント
◆騒音
・交通量の多い場所
・人混み
・お店など
◆日常生活内
・食器が当たる際のカチャカチャする音
・物を置く際の音
・女性や子供の甲高い声
・不意な突然の大きな音
などがあります。
3.聴覚過敏の原因
詳しい原因は分かっていませんが、考えられるものとして
・耳小骨筋反射・鼓膜張筋反射の異常
・内耳の反応異常
・聴覚の感度の上昇
などがあります。
なんらかの原因によって上記した状態になると聴覚過敏が起こるとされています。
4.聴覚過敏を起こす疾患一覧
他の原因疾患が考えられる場合は原因疾患に対する治療が行われます。
◆末梢要因
・ベル麻痺
原因不明の顔面神経麻痺をベル麻痺といいます。
・ラムゼイ・ハント症候群
帯状疱疹ウイルスにより、耳の周辺や顔面神経や内耳神経に再感染を起こす疾患です。
・騒音性難聴
騒音により蝸牛内に障害が起こる疾患です。
難聴だけでなく耳鳴りや過敏の症状が起こります。
・あぶみ骨切除
音の伝達を司るアブミ骨を切除した人に起こることもあります。
・外リンパ液ろう
内耳の中を満たす外リンパ液が中耳に漏れだす疾患です。
・突発性難聴
原因不明の難聴で、突然起こる疾患です。
再発することはないため、再発した場合は他の疾患が考えられます。
・メニエール病
内耳を満たす内リンパ液が増え、回転性のめまい・耳鳴・難聴・耳閉感の症状が起こります。
これらの症状に加えて、聴覚過敏も起こることもあります。
◆中枢要因
・うつ病
気分障害の一種で、精神活動の低下や不眠・不安などの症状が特徴的です。
・筋緊張性頭痛
頭の周りを何かで締め付けられるような痛みが起こる疾患で、精神的な緊張状態が長く続く人に多いです。
・発達障害
発達障害には、自閉症・アスペルガー症候群(ASD)・注意欠如多動障害(ADHD)学習障害(LD)の三つに大きく分かれます。
程度は様々であり、原因は先天的な脳の機能障害です。
もともと感覚が過敏な状態のこともあり、この中に聴覚も含まれます。、
・頭部外傷
頭部に外傷を受け中枢神経などに異常をきたすことがあります。
中枢神経系の障害により、聴覚過敏症状が起こることもあります。
・心的外傷後ストレス障害
命の安全が脅かされるような出来事によって精神的なストレスがかかることで発症します。
不安・不眠などの過覚醒症状が起こります。
精神が興奮状態にもなるため感覚が過敏になったりすることもあります。
・ウィリアムズ症候群
まれな遺伝子疾患で、知能低下や精神遅滞、心臓疾患などが起こります。
◆内分泌要因
・副腎機能低下症(アジソン病)
副腎の機能が低下し様々な症状が起こる疾患です。
低血糖や肥満、不眠症や関節炎を発症し、アレルギーなどの過敏症状を起こすこともあります。
◆感染性要因
・ライム病
野鼠や鹿、野鳥などが持つボレリアという菌がマダニを介して感染する人獣共通感染症のひとつです。
体内循環により病原体が全身に拡散することにより神経炎などが起こります。
・梅毒
梅毒トレポネーマに感染することによって発症します。
性行為による感染が多く、出生時の母子感染による先天性梅毒を起こすこともあります。
などがあります。
しかし聴覚過敏に対する合併症や危険因子についての十分な調査は行われていません。
5.聴覚過敏の検査
◆最小不快域値
音には快適に聞こえる快適レベル(MCL)と不快に聞こえる不快レベル(UCL)に分けられます。
この範囲を知ることでどのあたりから不快に感じるかを検査します。
◆耳小骨筋反射
耳小骨筋の役割として、大きな音を聞いたときにそれを抑える役割があります。
この反射機能が働いているか検査します。
主に顔面神経麻痺の際に使用されます。
◆bekesy検査
音が聞こえている間はボタンを押し、聞こえなくなったら押すのを止めてもらいます。
ボタンが押されなくなるとまた徐々に大きな音へとなり聞こえたらボタンを押します。
これを繰り返し、どの程度聞こえているか検査します。
◆SISI検査
同じ音量の音を聞いてもらい1dBだけ音量を上げます。
通常ならこの程度の変化は分かりませんが補充現象が顕著である場合ではこの変化を聞き取ることが出来ます。
◆画像検査
CTやMRIで他の疾患の有無を確認します。
◆聴覚過敏尺度
聴覚過敏の主観的な重症度を測定するために14項目からなる心理尺度を知るための質問票があります。
A.既往歴・合併症についての項目
A-1・以下の6つの質問に,「はい/いいえ」で回答。
1.聴力の異常を指摘されたことがある。
2.頭あるいは首に入院するほどの怪我をしたことがある。
3.頭あるいは首の手術をうけたことがある。
4.顔面神経まひと診断されたことがある。
5.寝つきが悪い,途中で目が覚めてしまう,寝起きがすっきりしないなど,睡眠になんらかの困難を感じたことがある。
6.頭痛,肩こり,腰痛など,体のどこかに慢性的な痛みを抱えている。
B.聴覚過敏についての項目
1.騒音を減らすために,これまで耳栓やイヤーマフを使用したことがありますか? (異常なほどに激しい騒音にさらされている状況下での聴覚保護のための使用は除きます)
2.日常生活において,周りの音を無視することにしんどさを感じますか?
3.騒々しい場所や大きな音のする環境で文字を読むことに,困難を抱えていますか?
4.周囲が騒々しい中で集中することに困難を抱えていますか?
5.騒々しい場所で会話を聞くのが難しいですか?
6.知人に「あなたは騒音や特定の種類の音を我慢するのが苦手だ」と言われたことがありますか?
7.通りの騒音に特に敏感だったり悩まされたりしていますか?
8.ある社会的な場面で,音を不快だと感じますか? (例: ナイトクラブ,居酒屋やバー,コンサート,花火大会,立食パーティ)
9.人に何かをしようと提案された時(外出,映画,コンサートなど),そこで我慢することになるであろう騒音につい てすぐに考えますか?
10.直面せねばならないであろう騒音が原因で,今まで招待を断ったり,外出しなかったりしたことがありますか?
11.少しうるさい部屋にいる時よりも静かな場所にいる時のほうが,騒音や特定の音に悩まされますか?
12.ストレスや疲労は,あなたが騒音の中で集中する力を減弱させますか?
13.一日の終わりが近づくにつれて,騒音の中で集中することができなくなっていきますか?
14.騒音や特定の音が,ストレスやいらだちの原因になりますか?
6.聴覚過敏の一般的な治療
◆原因疾患に対する治療
聴覚過敏以外の症状もあり、他の疾患が診断された場合は疾患に対する治療を優先します。
◆ピンクノイズ
快適と感じる音をヘッドホンで流し、耳に刺激を与える治療法です。
悪化する場合もあるため専門医の指示に従って行いましょう。
◆薬物療法
・末梢神経の働きを良くする薬
・炎症を抑える薬
・利尿剤
・安定剤
・睡眠薬・導眠剤
・漢方薬
などの薬が処方されます。
7.聴覚過敏の予後と後遺症
他の疾患によるものであればそれに準じて治療を行います。
聴覚過敏単独での症状に対する治療法は確立されておらず、薬物療法を行い経過観察とします。
関連記事:
耳鳴り・難聴の患者さん「右耳で電話が出来るようになりました!」
突発性難聴の閉塞感が計3回の治療で、ほぼ元の状態に。【体験談】
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
大阪府大阪市都島区にある総合治療院 杏総合治療所
谷町線都島駅から徒歩30秒。
JR環状線桜ノ宮駅より徒歩8分。
痛みの原因を根本から治療し、あなたの人生を豊かにします。
◆Webサイト:https://an-sogo.com/
◆お問い合わせはこちら
◆診療時間:平日9:00~12:30・16:00~19:30
※火・木・土曜日は9:00~12:30
◆定休日:日曜
◆住所:〒534-0021 大阪市都島区都島本通2-11-8アベニール1F
◆駐車場:近隣のコインパーキングをご利用ください。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++