耳鳴・難聴
8.282017
外リンパ瘻(ろう)の原因・症状・治療
1.外リンパ瘻(ろう)とは
何らかの原因によって内耳にある卵円窓・正円窓から外リンパ液が中耳へと漏れだし、平衡感覚や聴覚に異常をきたす疾患です。
あまり聞きなれない病名ですが身近な原因から起こることも少なくないようです。
2.耳の仕組み
音の振動は外耳道から鼓膜を経て中耳にある耳小骨に伝わります。
順序として、外耳道→鼓膜→ツチ骨→キヌタ骨→アブミ骨と振動が伝わっていきます。
次いでアブミ骨に伝わった振動はリンパ液で満たされた蝸牛(内耳)に伝わります。
リンパ液の揺れは蝸牛にある有毛細胞がキャッチし、電気信号に変換して脳へと伝わり「音」として認識されます。
内耳の役割
内耳には蝸牛・前庭・三半規管という三つの器官があります。
三つの器官は、
蝸牛:聴覚
前庭・三半規管:平衡感覚
という役割を担っています。
外リンパ液とは
注:上図は簡略化しています。
実際の蝸牛はカタツムリ(とぐろを巻いたような)のような形をしています。
蝸牛は管状の構造をしています。
管の中は三つの区画(前庭階・中心階・鼓室階)があり、外側(前庭階・鼓室階)を外リンパ液、内側(中心階)を内リンパ液が満たしています。
中耳と内耳の間には卵円窓と正円窓という二つの窓があります。
アブミ骨に伝わった振動は卵円窓を経て前庭階の中にあるリンパ液に振動を伝えます。
さらにその振動は前庭階→鼓室階へと伝わり正円窓から振動を中耳へ放散します。
・卵円窓は振動の入り口
・正円窓は振動の出口
と、このようなイメージで良いと思います。
外リンパ液の振動は、蝸牛を通じて脳に信号を送ります。
この二つの窓は内耳の中の圧力を調節するだけでなく、外リンパ液へ振動を伝える重要な役割と言えます。
3.外リンパ瘻の原因
考えられる原因は多くあります。
基本的に中耳と内耳の圧力の差により卵円窓・正円窓からリンパ液が漏れだすことが多いです。
◆外の気圧変化からの原因
・高い山に登る
・エレベーターの昇降
・ダイビング
・ジェットコースター
・飛行機など
◆中の気圧変化からの原因
・くしゃみ
・嘔吐
・いきむ
・ベンチプレス
・出産など
◆外傷によるもの
・むちうち
・頭部打撲
・鼓膜外傷など
4.外リンパ瘻の症状
症状は人によって差があります。
症状は多岐にわたり、常にある場合や、どんどんきつくなる、症状がなくなる時などの変化があります。
頭の位置によって症状がきつくなる場合もあります。
◆めまい
・グルグルする回転性のめまい
・フワフワする浮動性のめまい
・グラグラする動揺性めまいなどの症状をきたします。
◆耳鳴り・難聴
・水が流れるような音
・なにかがはじける音(POP音)
・聞こえが悪い
・耳が詰まるなど
◆その他の症状
・吐き気
・嘔吐
・むかつきなど
5.外リンパ瘻の検査
他の疾患を除くために検査を行いますが、外リンパ瘻は内視鏡や顕微鏡によって穿孔部(漏れ出ている部位)を確認します。
近年では鼓膜を切開し中耳に生理食塩水を入れて、リンパ液が漏れているか調べる検査方法も開発されています。
◆聴覚検査
どの程度聞こえているかを検査します。
◆平衡機能検査
片足立ちや両足立ちで開眼時と閉眼時のふらつきをみます。
他にも眼振などの異常な目の動きなども検査します。
6.外リンパ瘻の一般的な治療
◆保存療法
入院にて安静にし、自然治癒を期待します。
脳脊髄圧を下げるために、頭を高くしステロイド薬を服用しながら治療します。
◆外科的治療
症状が改善しない場合は、穿孔部を確認し、外リンパ瘻閉鎖術が行われます。
7.外リンパ瘻の鑑別疾患
◆突発性難聴
◆メニエール病
◆老人性難聴
◆聴神経腫瘍
◆その他の内耳疾患
◆中枢疾患
8.外リンパ瘻の後遺症と予後
多くは自然治癒し、手術によっても多くは回復します。
ただし、数か月以上治療を行わずに症状が固定すると改善はあまり期待できません。
※内容に誤りや情報が古いなどありましたらお手数ですがご一報ください。
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