痛み, 神経障害

三叉神経痛の原因・症状・治療

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1.三叉神経痛とは

特徴的な激しい顔の痛みを発症します。
激しい顔の痛みから、「顔面神経痛」と言われることもありますが、これは正しくありません。
顔面神経は主に顔の運動(表情を作る)を役割としています。
冷たい・熱い・触るなどの感覚(知覚)は三叉神経が支配しているため、顔面神経痛とは言いません。

顔面神経麻痺についてはこちらへ

2.三叉神経について

 

 

三叉神経は12ある脳神経の5番目(第Ⅴ脳神経)の神経です。
この神経は眼神経・上顎神経・下顎神経に分かれることから、三叉神経と呼ばれるようになりました。

三叉神経の走行

三叉神経は脳にある「橋」という部分から出ています。
橋(きょう)の上部には中脳、下部に延髄と連なっていて、これらをまとめて「脳幹」と言います。

 

 

 

橋には他にも、外転神経・顔面神経・内耳神経(聴神経)が出ています。

橋から起こった三叉神経は大きく分けて二つの線維に分かれます。

知覚を司る神経線維(知覚根)と、運動を司る神経線維(運動根)です。

知覚神経線維は側頭骨の内側で大きな神経節(三叉神経節(上図丸の部分))を作ります。

ここから三つの枝(眼神経・上顎神経・下顎神経)に分かれ顔の感覚を支配します。

一方運動根は、感覚跟の下を走行し下顎神経に加わり、咀嚼筋や鼓膜張筋の運動を支配します。

 

三叉神経の役割

三叉神経は感覚線維と運動線維からなります。

◆三叉神経の感覚線維

三叉神経は眼神経・上顎神経・下顎神経に分かれます。
これらの神経は境界がはっきりしているため、感覚障害が出る部位は診断の目安にもなります。

・眼神経:V1
前頭部・頭頂部・鼻の皮膚と角膜・結膜・鼻腔・副鼻腔の一部

・上顎神経:V2
上顎・頬部・側頭部の皮膚・上顎の歯、歯肉・鼻腔の後部・口腔の一部・口蓋・上顎洞の一部

・下顎神経:V3
下顎部・側頭部(外耳道など)の皮膚・下顎の歯、歯肉・舌・口腔底の粘膜

◆三叉神経の運動繊維

下顎神経のみに運動繊維があり、その範囲は、咀嚼筋(噛む筋肉)から喉の筋肉。
さらに鼓膜張筋という鼓膜に付く筋肉を支配しています。

3.三叉神経痛の症状

特徴的な症状は顔の激烈な痛みです。
「人が経験する痛みの中で一番の痛み」と表現されるほどです。
しかし長時間続くことはなく、数秒続くか長くても10秒の突発的な痛みです。
洗顔・ひげそり・化粧・喋る・噛む・風にあたる・冷たいものを飲むなどの行為から痛みが誘発することが多く日常生活にも支障をきたします。

4.三叉神経痛の原因

◆特発性三叉神経痛

特発性とは明確な原因の分からない時に使用されます。
原因不明の三叉神経痛です。

◆血管による圧迫

MRIによって診断が可能です。
小血管が三叉神経を圧迫し痛みなどの症状が起こります。
三叉神経痛の多くが、血管による圧迫が原因です。

◆腫瘍

数%しかありませんが腫瘍による圧迫が原因で三叉神経痛が起こります。
類上皮腫や神経鞘腫、髄膜腫などにより発症します。

◆帯状疱疹ウイルス

帯状疱疹後三叉神経痛というものもあります。
帯状疱疹ウイルスは神経節に潜伏しています。
体調不良や免疫低下により再感染した際に三叉神経痛がおこります。
この場合痛みが出た時期に水ぶくれや発赤などが出るとウイルスによるものを疑います。
治療も帯状疱疹ウイルスに対する治療が行われます。

5.三叉神経痛の疫学

50歳前後の女性に多いとされています。

6.三叉神経痛の一般的な治療

 

◆薬物療法

・神経の伝達を抑える薬
癲癇(てんかん)にも使用される薬です。

・神経ブロック
対症療法ですが、痛みを抑える目的で使用されます。

・抗ウイルス薬
帯状疱疹が原因の場合はウイルスに対する薬が使用されます。

 

◆手術療法

・微小血管減圧術
三叉神経を圧迫している血管を引き離します。
さらに再び圧迫しないよう固定する手術です。

・ガンマナイフ
神経根に放射線を当て、症状の軽減を図ります。
しかし他の部位に痛みが出ることもあります。

・高周波凝固
手術で改善しない場合には神経を凝固させます。
痛みは取れますが、感覚がにぶくなる・シビレなどの症状が発症します。
この治療法は高齢者で全身麻酔ができない場合やがんの末期の方に使用します。

・その他
三叉神経痛が二次性に起こる場合はその原因に対して手術を行います。
例えば、腫瘍ができて三叉神経痛が発症している場合では腫瘍を取り除く手術を行います。

 

7.三叉神経痛の鑑別

◆舌咽神経痛

三叉神経痛とよく似た痛みを発症します。
食べ物を飲み込んだ際や噛んだ際に痛みが出ます。
さらに三叉神経痛と合併することもあるので鑑別が難しいです。

◆顔面けいれん

顔面けいれんは顔の筋肉を支配する顔面神経になんらかの障害が起こり発症します。
三叉神経は咀嚼筋の運動神経を支配しているためそのような症状は起こりません。
三叉神経の特徴的な運動障害としては顎の偏位(かたより)などです。

患者さんが誤った認識をしていることが多いです。

顔面神経麻痺についてはこちら

◆歯科疾患

歯の痛みを発症することもあるため、虫歯などの歯科疾患と勘違いされやすいです。

三叉神経痛の予後と後遺症
原因が見つかり原因に対する治療を行えば予後は良いとされています。
特発性三叉神経痛の場合は原因不明の為対症療法をしていくほかありません。

 

7.三叉神経痛の予後と後遺症

原因が見つかり原因に対する治療を行えば予後は良いとされています。
特発性三叉神経痛の場合は原因不明の為対症療法をしていくほかありません。

 

 

 

※内容に誤りや情報が古いなどありましたらお手数ですがご一報ください。

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