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手足口病の男の子(2歳)の小児鍼と裏テク

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都島の鍼灸院、杏総合治療所の研修生しょーじです。

 

手足口病(てあしくちびょう)が流行る季節になりました。

 

手足口病の原因と症状、治療

手足口病とはその名の通り、手や足、口の中に水疱性の発疹がでる病気です。

エンテロウイルスというウイルスが原因とされ、毎年夏に流行します。

 

手足口病はまれに、髄膜炎や脳炎などの合併症を起こすこともあります。

しかし、ほとんどの場合、症状も軽く、期間も数日で治る病気です。

多くの人が子供のころにかかり、免疫を獲得している感染症でもあるため現代医学では経過観察が基本です。

治療するとしても、発疹や発熱に対する対症療法となります。

 

東洋医学における原因と治療

一方、東洋医学では手足口病は「温病(うんびょう)」として捉え、治療します。

温病は、消化器系の症状や発熱、発疹が出ることが主な特徴です。

「熱邪」と「湿邪」と呼ばれる余分な熱と湿気によって、抵抗力が低下したために起こる夏風邪の一種です。

原因は、下記の通りになります。

[1] 夏の暑さや湿度の高さから体が弱る

[2] 脂っこいものや味の濃いものの過食

[3] 睡眠不足などの疲労過多

[4] イライラや興奮のし過ぎ

ですから、治療も原因を見極めた上で余分な熱や水分を排出させるように行っていきます。

 

現代医学と東洋医学の「原因」の考え方の違い

現代医学で原因は、「エンテロウイルス」。

東洋医学で原因は、「暑さ」。

どちらも間違っていません。

「原因」に対する考え方が違うのです。

現代医学は、その病気や症状を起こしている病原微生物や物質を「原因」と言います。

東洋医学は、「なぜ、夏に流行するのか?」、「なぜ、みんなが罹らないか?」、「なぜ、子供が罹るのか?」を考えます。

結果、その病気が起こる「条件」を「原因」ととらえます。

この場合、夏の暑さや熱を持ちやすい飲食などの生活習慣、体質(子供は体温が高い)などが重なり、身体が疲弊し、抵抗力が低下したためです。

 

症例の病状と治療と対策と経過

先日も、手足口病の子供が治療に来られました。

2歳の男の子でしたが、この子は両腕や足の裏、舌の先に発疹が出ていました。

そして、夜になると38度の熱が出るとのこと。

 

小児鍼には、健康法的なものと治療目的なものがあります。

普段なら、健康法的な体質改善を図る小児鍼(刺さない鍼)のみで十分です。

しかし、今回は熱が旺盛なため、大人と同じ刺す鍼をした方が良いと所長が判断しました。

前述の髄膜炎や脳炎のような合併症を防ぐためです。

「督脈」という※経絡上のツボにはそうした作用があるため、その中から適宜選ばれます。

※様々な体内の反応が体表に現れる部位を整理・体系化した東洋医学特有のもの。一般には線で表される。

 

もちろん、鍼を見せてしまうと途端に怖がられるため、所長は手品のように上手に鍼を隠します。

裏のテクニックで刺鍼法に少し特徴というか、通常とは違いがあります。

そして、少し遊んでるように見せかけている間に刺す鍼は終了。

もちろん、まったく痛みは感じません。

ですから、男の子は「なんかいつもと違うような気はしたけど…なんだったんだろう…?」と思っています。

キョトンと不思議そうな顔をしていました(笑)

いくら治療だからと言って、せっかく築いた子供との信頼関係を壊さないように、という配慮です。

こういうところが、一般的に行われている小児鍼とは違うところ。

 

手足口病(温病)は暑さが原因の病気のため、養生(生活習慣指導)法は涼しく、快適にさせてあげること。

食べ物も脂っこいものやしつこいもの、甘すぎるものはは控え、さっぱりしたものを食べさせてあげること。

(きゅうり、スイカなど瓜の仲間ハトムギ茶などは余分な熱や水分を排出させるのでお勧めです)

 

このように指示し、その後、きれいな経過をたどって、男の子は元気になりました。

 

感想

現代医学の病名がついている病気でも、東洋医学的にとらえることで、治療はもちろんのこと、その後の養生まで指示できてしまう…。

ここが、東洋医学の病気観の偉大なところだなーと考えさせられます。

 

手足口病を温病と捉えたのは、所長の師匠と所長の長年の研究によるものです。

「手から手へ」。伝承医学の真骨頂です。

こういう治療は、研修しないと一生身に付きません。

分析や刺し方が普通と違うので、教科書には出ていませんし、学校では習いませんからね。

 

私も、もっともっと勉強して繋いで行くべし…。

 

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