下痢
8.252017
潰瘍性大腸炎の治療法・症状・原因
↑注目!
1.潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起き、びらんや潰瘍を形成し、下痢、腹痛、血便などの症状を引き起こし、長い年月にわたり再発と寛解を繰り返す、厚生労働省から難病指定されている原因不明の病気です。
2.大腸の構造、役割
大腸は、消化管の一部で、約1.5メートルほどあり、主に腸の内容物から、水分や一部の栄養素を吸収して便を形成し、肛門へと運ぶ器官です。
3.潰瘍性大腸炎の原因
原因は不明ですが、考えられる原因としてこれらの説があげられています。
・自己免疫疾患説
・遺伝性説
・自律神経障害説
・感染、アレルギー説
・心因性説
・腸内細菌の異常説
・環境因子説
4.潰瘍性大腸炎の症状
初期症状では下腹部の不快感から始まり、腹痛、下痢、便に血が混じり、血便、粘血便がみられます。
悪化すると発熱、全身倦怠感、貧血などの症状がでます。
また、合併症として皮膚病変、眼症状や関節炎、小児では成長障害を起こす事があります。
5.潰瘍性大腸炎の分類
潰瘍性大腸炎には、5つの分類があります。
1.病変の拡がりによる分類
・全大腸炎‥横行結腸中央部を越えた病変
・左側大腸炎‥横行結腸中央部より肛門側に存在する病変
・直腸炎‥病変が直腸へ存在するもの
2.病期の分類
・活動期‥血便を訴え、びらんや潰瘍などの症状が出現し、悪化している状態
・寛解期‥血便がなくなり、びらんや潰瘍などが見られず、症状が落ち着いている状態
3.重症度による分類
厚生労働省が定める重症度による分類は以下の通りです。
中等症以上を対象とします。
重 症 | 中等症 | 軽 症 | |
①排便回数 | 6回以上 | 重症と 軽症の 中 間 | 4回以下 |
②顕血便 | (+++) | (+)~(-) | |
③発熱 | 37.5℃以上 | 37.5℃以上の発熱がない | |
④頻脈 | 90/分以上 | 90/分以上の頻脈なし | |
⑤貧血 | Hb10g/dL以下 | Hb10g/dL以下の貧血なし | |
⑥赤沈 | 30mm/h以上 | 正常 |
顕血便の判定 (-)血便なし (+)排便の半数以下でわずかに血液が付着 (++)ほとんどの排便時に明らかな血液の混入 (+++)大部分が血液 重症度 軽 症: 上記の6項目を全て満たすもの 中等症: 上記の軽症、重症の中間にあたるもの 重 症: ①及び②の他に、全身症状である③又は④のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目を満たすもの 劇 症: 重症の中でも特に症状が激しく重篤なものをいう。発症の経過により急性電撃型と再燃劇症型に分けられる。 劇症の診断基準は (1)重症基準を満たしている。 (2)15回/日以上の血性下痢が続いている。 (3)38.5℃以上の持続する高熱である。 (4)10,000/mm3以上の白血球増多がある。 (5)強い腹痛がある。
4.臨床経過による分類
・再燃寛解型‥症状がマシになったり(寛解)悪化したり(再燃)を繰り返すもの
・慢性持続型‥初回の発作から6ヶ月以上活動期にあるもの
・急性劇症型‥急激に症状が悪くなったもの
・初回発作型‥一回だけ発作が起きてから再燃しないもの
最も多いのは再燃寛解型になります。
6.潰瘍性大腸炎の一般的な治療
基本的には、薬物治療で、一般的に数種類の薬剤を用います。副腎皮質ホルモン製剤、免疫抑制剤、抗菌薬を投与します。
対症療法的には、鎮痛薬、下痢止めの薬を用います。
ただし、薬物治療の目的は潰瘍性大腸炎を治すものではなく、大腸粘膜の炎症を抑え、症状を安定させることです。
しかし、
・薬物治療で症状が安定しない場合
・衰弱が進行する場合
・癌を併発した場合
・大腸の大量出血
・穿孔(腸に穴があくこと)を生じた場合
などが、外科治療(手術)の対象になることがあります。
7.潰瘍性大腸炎の予後
慢性の経過をたどりますが、予後は良好です。
しかし、再燃と寛解を繰り返し、完治は難しいので、症状のない状態を長くするのが目標となります。
8.潰瘍性大腸炎と類似疾患
まず症状や経過を問診し、X線や内視鏡で大腸検査を受け、血液検査、便検査、感染性腸炎や他の類似の腸疾患と区別するため、細菌や他の感染症の検査をします。
また、鑑別疾患として、
・細菌性赤痢
・アメーバ性大腸炎
・サルモネラ腸炎
・キャンピロバクタ腸炎
・クラジミア腸炎
特に大腸結核やクローン病との鑑別が困難であり、診断は経過観察や切除手術または剖検の結果を待ってからの診断になります。
9.寛解しない人、寛解期間を延ばしたい人に読んで欲しい記事
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★潰瘍性大腸炎 下痢は治らないか?(↑のその後)
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