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胸郭出口症候群の症状・原因・治療まとめ

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1.胸郭出口症候群について

胸郭とは肋骨と胸骨が肺や心臓を囲む部分のことをいい、首のすぐ付け根の部分を胸郭で出口といいます。
ここには重要な神経や血管が通っており、なんらかの原因により圧迫や刺激を受け種々の症状が起こることを胸郭出口症候群と言います。
なで肩の女性や筋肉質の男性に多く、好発年齢は20~30歳代です。
・原因
圧迫される原因により分類が異なります。
斜角筋症候群、肋鎖症候群、過外転症候群(小胸筋症候群)、頚肋症候群に分かれます。
いずれの分類も同様の症状が起こるため総称して胸郭出口症候群と呼ばれるようになりました。
・症状
症状としては、頚部や肩甲帯、後頭部の痛みと手指の痺れや握りにくさ、手が冷たくなるなどの多彩な症状が起こります。
知覚異常は特に小指と薬指に多く発症します。
・治療
治療は基本的に保存療法となります。
運動や筋力強化を行い、仕事での姿勢の改善を図ります。他にも痛み止めや痺れに対する薬が処方されることがあります。
保存療法が無効であるか、慢性的な耐え難い痛みがあったり、奇形や変形が原因になると手術が適応となります。
胸郭出口症候群の多くは3~12週で症状は軽減します。

 

2.胸郭出口症候群の症状

神経や血管の圧迫症状に加え、交感神経や精神面も関与するためた際で複雑な症状が起こります。
就業者では仕事中より仕事後や夜間に症状が強くなることがあり、睡眠が障害されることもあります。

◆首周辺の痛み

主に首、肩甲骨周辺、後頭部にかけての痛みが起こります。
腕の方にも痛みを感じる場合があります。

◆肩や手指の痺れ

神経刺激症状として痺れが起こります。
動作時や安静時に肩に走る痺れや、手指に痺れを感じます。
主に手の小指と薬指に痺れが起こりやすく、親指に感じる場合は急性期であるとの報告もあります。

◆握力低下

筋肉がけいれん、過緊張のために疲労しやすくなります。
茶碗を落とすことが多くなったり、パソコンのタイプや裁縫などの指先の動作がしにくくなります。

◆手の冷たさ

手が冷たく感じたり、色が白っぽくなることもあります。
重症時にはレイノー症候群となります。
レイノー症候群とは、血管が過剰に収縮して手指の循環が悪くなり冷感や痺れ、色が蒼白になるなどの症状を起こす疾患です。

◆その他の症状

片頭痛、耳の痛み、目の奥の痛み、顔の感覚がおかしい、指の腫れ感などの症状もあります。

 

3.胸郭出口症候群の原因

3-1.先天的な原因

先天的な原因として奇形があります。
第一肋骨の形が異常であったり、胎生期にある頸椎部から起こる肋骨残存する頚肋、脊椎の奇形や頚部周囲の筋が破綻するなどがあります。
奇形はレントゲン検査によって分かりますが、奇形があるから必ず症状が起こるとも限りません。
そのため他の疾患の有無を詳しく調べ、症状との因果関係を詳しくみる必要があります。

3-2.後天的な原因

後天的な原因として仕事上の姿勢やスポーツ、鎖骨の骨折・脱臼などの外傷があげられます。
頚部から肋骨を繋ぐ筋肉(斜角筋)や胸にある小胸筋の異常な筋緊張、腕を挙上した際に肋骨と鎖骨の間で神経や血管が圧迫されることがあります。
なで肩で円背(猫背)の女性や筋肉質の男性に多く発生します。

 

4.胸郭出口症候群の分類

4-1.頚肋症候群

頚肋とは奇形の一種で、胎生期にある頸椎から起こる肋骨が遺残したものをいいます。
この頚肋が鎖骨下動静脈や腕神経叢を圧迫し、上記した症状が起こります。
多くはレントゲン撮影したときに偶然見つかることが多く奇形があるから症状が起こるとは言い切れません。

4-2.斜角筋症候群

斜角筋は頚部から第一・二肋骨に付着し、前中後に分かれます。
問題となるのは前斜角筋と中斜角筋で、この間を腕神経叢、鎖骨下動脈が通過します。
姿勢により斜角筋が牽引されたり、異常な筋緊張が生じるとこれらの神経・血管を圧迫し種々の症状が起こります。

4-3.肋鎖症候群

肋骨と鎖骨の間には腕神経叢や鎖骨下動静脈が通過しています。
鎖骨の後方脱臼により圧迫を受けたり、骨折後に変形治癒し圧迫を受けることがあります。
他にも筋肉質、いかり肩を呈する場合にも、上肢を上げた際に圧迫を受けやすいです。

4-4.過外転症候群(小胸筋症候群)

小胸筋は胸にある筋肉で、この筋肉と肋骨の間には腕神経叢、鎖骨・腋窩動静脈が通過します。
腕を外転(側方にあげる)する際に、小胸筋が緊張しこれらの神経・血管を圧迫します。
上腕骨頭の前方突出も原因の一部となります。

 

5.胸郭出口症候群の検査と診断

胸郭出口症候群の診断は難しく、決め手となる検査方法がありません。
そのため、神経学的検査や症状の誘発、職業などを考慮し、総合的に判断します。

5-1.徒手検査

胸郭出口症候群の症状を誘発させるいくつかの検査方法を紹介します。
数種類の検査が陽性であれば胸郭出口症候群の疑いがあります。

◇モーリー(Morly)テスト
鎖骨のすぐ上部にある斜角筋を母指で圧迫します。
その際に圧痛や放散痛がある場合は陽性となります。

◇アドソン(Adson)テスト
座った状態で患側の橈骨動脈を触知します。
患者さんに首を後屈してもらい、患側に首を傾け息を止めてもらいます。
その際に橈骨動脈の拍動が減弱・消失すると陽性となります。

◇ライト(Wright)テスト
座った状態で患側の橈骨動脈を触知した状態で、肩関節外転90度・外旋90度、肘関節90度屈曲にします。
橈骨動脈の拍動が消失する場合、過外転症候群の疑いがあります。

◇エデン(Eden)テスト
患者さんは胸を張った状態で腕を後方に引きます。
術者はその腕を把持し、橈骨動脈の拍動の変化、症状の変化を確認します。

◇ルース(Roos)テスト
座った状態で肩関節90度外転・外旋、肘関節90度屈曲してもらいます。
その状態で3分間グーパーしてもらい、上肢の疲労感や痛みが誘発されれば陽性となります。
これは肋鎖間隙での圧迫を疑います。

5-2.画像検査

レントゲンにて奇形の有無や他疾患との鑑別を行います。
筋肉などの軟部組織はレントゲンには写らないため徒手検査を参考にします。

 

6.胸郭出口症候群の一般的な治療

治療は基本的に保存療法が選択されます。
肩周囲の筋力強化や姿勢の指導、薬の処方で経過を観察します。
胸郭出口症候群の多くは3~12週間で症状が軽減・消失すると言われています。
慢性的に続く耐え難い症状や、明らかに奇形が関与している場合は手術となることがあります。

6-1.保存療法

◇薬物療法
主に痛み止めの薬や筋肉を緩める薬、神経に対する薬が処方されます。

◇運動療法
僧帽筋・三角筋・広背筋・肩甲挙筋の筋力強化やストレッチを行います。

◇生活指導
仕事上での姿勢に問題がある場合は姿勢を治すよう指導します。

6-2.手術療法

奇形や骨の変形が認められた場合はその切除術を行います。

 

7.胸郭出口症候群と間違いやすい疾患

7-1.肘部管症候群

肘の内側にある神経で、神経を固定している靭帯により圧迫を受け手指の痺れや運動障害が起こります。
加齢に伴う肘の変形や骨折、手の使い過ぎなどにより起こります。
手の4・5指の痺れや感覚異常が起こります。

7-2.手根管症候群

前腕から手の掌側を通る神経で、ちょうど手関節部で手根管という骨と靭帯で形成されたトンネルを通過します。
ここで圧迫や損傷を受けしびれなどの症状が起こることを手根管症候群といいます。

7-3.パンコースト(Pancoast)腫瘍

肺尖部に起こる悪性腫瘍のことで、肺尖のすぐ上部にある腕神経叢が圧迫されて各症状が起こります。

7-4.頚椎椎間板ヘルニア

頸椎の間にある椎間板という組織が破綻し、中にある髄核が飛び出したことを頸椎椎間板ヘルニアといいます。
手指の痺れや頚部の痛みが主な症状で、圧迫を受ける部位によっては上肢だけでなく下肢にも症状が起こることもあります。

7-5.頚椎症

頸椎の変形性疾患です。
関節やその周囲に変形があると頚部の痛みが起こります。
神経を圧迫すると手指の痺れや運動障害などが起こります。

7-6.脊髄空洞症

脊髄の周囲には衝撃から保護するために脳脊髄液で満たされています。
脊髄空洞症では、脊髄の中に脳脊髄液が溜まった大きな空洞ができ、圧迫することがあります。
片側の腕に感覚異常が起こり、痛みや痺れも発症します。

 

8.胸郭出口症候群の予後と後遺症

保存療法・手術療法ともに良好な効果が認められています。
日常生活に問題がある場合は長引くこともありますが、きちんとした対処と治療で症状は徐々に良くなります。
頚部周辺の病気と類似した症状を呈するので注意が必要です。

 

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