手の痛み, 痛み

キーンベック病(月状骨軟化症)の症状・原因・治療の分かり易いまとめ

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1.キーンベック病(月状骨軟化症)について

キーンベック病とは別名「月状骨軟化症(げつじょうこつなんかしょう)」ともいわれ、手の骨の一つである月状骨が※壊死(えし)を起こす原因不明の疾患です。
明確な外傷(けが)がきっかけとなることは少なく、現在では繰り返し月状骨に加わる外力(例:使いすぎ)により発生すると考えられています。
青壮年男性に発生しやすく、仕事上よく手を使う人(利き手)に発症する比較的稀な病気です。
女性や高齢者にもみられ、キーンベック病の10%は両側性に発生します。
※壊死とは、血が通わなかったり、傷ついたことにより細胞や組織が死ぬことです。

・症状
症状としては手首の痛みと腫れで、痛みや骨の変形により手首が動かしにくくなります。
他にも月状骨部に押さえると痛い「圧痛」を認めます。

・治療
一般的な治療としては、※保存療法で経過を観察します。
保存療法が無効な場合は手術が選択され、日本では「橈骨短縮術(とうこつたんしゅくじゅつ)」という手術がが多く行われています。
壊死が進行し周囲の関節に関節症がおこることもあり、痛みや動かしにくさが残ることもあります。

※保存療法とは、手術のような人体を傷付け、出血させる治療方法以外の総称です。

 

2.キーンベック病(月状骨軟化症)の症状

◆手関節の腫れ

手首に腫れがみられます。

 

◆手関節の痛み

手首の背側(手の甲側)に痛みが生じます。
また手首を動かした際や力を入れたときに運動時痛(動かすと痛い)が起こります。

 

◆手関節の運動制限

痛みや骨の変形により手首が動かしにくくなります。
主に背屈(手の甲側に手首を伸ばす)が制限されます。

 

3.キーンベック病(月状骨軟化症)の原因

原因は不明です。
月状骨に繰り返し外力が加わり骨を養っている栄養血管が途絶され、細菌などの感染がない「無腐生壊死(むふせいえし)」を起こすと考えられています。
青壮年の男性に多く、職業で手をよく使う人によくみられますが、明らかな外傷や職歴のない女性や高齢者にもみられます。
キーンベック病の中でも10%の人が両側性に発生すると言われています。

 

4.キーンベック病(月状骨軟化症)の検査と診断

4-1.触診

明確なきっかけがなく、手首の腫れを認めます。
他にも月状骨部に押さえると痛い圧痛と動かしにくさを認めます

 

4-2.画像検査

診断は画像検査によって可能です。
通常レントゲンによって検査を行いますがごく初期には骨折線(ひび)を認めにくいことがあります。
徐々に進行すると診断は容易となり、さらに詳しい検査にはMRIやCT検査を用います。

 

4-3.病期分類

壊死の進行度によって分類が異なり、治療が選択されます。
・Lichtman(リットマン)分類
ステージⅠ:月状骨に変化なし。骨折線(ひび)を認めることがある
ステージⅡ:月状骨の萎縮または硬化を認める。月状骨の変形はない
ステージⅢ:月状骨の扁平化・分節化(二つに割れる)を認める
Ⅲ・A:舟状骨の回旋なし
Ⅲ・B:舟状骨の回旋あり
ステージⅣ:舟状骨周囲の手根骨(指を除く手の骨)及び手関節(手首)の関節症性変形化を認める

参考文献:標準整形外科学第12版

 

5.キーンベック病(月状骨軟化症)の一般的な治療

一般的には保存療法が選択されます。
しかし壊死が重度であったり、進行性や保存療法が無効な場合は手術が適応となります。

5-1.保存療法

・固定療法
手首を動かさないように※装具で固定し安静を図ります。
※装具とは、病気や怪我で身体の働きが悪くなったり、無くなったものを補ったり、保護、支えたりするために身体に着けるものです。

・薬物療法
痛み止めの薬が処方されることが多いです。

・理学療法
安静期が過ぎると徐々に運動を行います。
温熱療法や手の周りの筋肉のストレッチが行われます。

 

5-2.手術療法

保存療法が無効な場合や、病状が進行している場合は手術が適応となります。
手術の方法は様々で、
・橈骨短縮術・楔状骨切り・手関節固定術
・血管束の移行
・月状骨置換・腱球・シリコン
・手関節固定術・手根列切除術
などが選択されます。
日本では「橈骨短縮術」という手術が選択されることが多いです。

 

6.キーンベック病(月状骨軟化症)と間違いやすい疾患

6-1.月状骨骨折

発生頻度は極めて少なく、単独での損傷はさらに稀な疾患です。
転倒した際に手首を底屈(手のひら側に曲げる)または背屈(手の甲側に伸ばす)の状態で手をつき受傷します。
月状骨が橈骨(とうこつ)と有頭骨(ゆうとうこつ)と言う周りの骨に圧迫されて起こります。
手首の中央に著明な腫れと痛み、動かしにくさが起こります。

 

6-2.月状骨脱臼・周囲脱臼

月状骨のみが掌(てのひら)側に脱臼するものを月状骨脱臼といいます。
月状骨と橈骨は正常な位置関係で、周囲の骨が背側(手の甲側)・橈側(親指側)・中枢側(指から遠い側)に転位しているものを月状骨周囲脱臼といいます。
20~50歳の男性に好発し、手首を手の甲側に伸ばしたまま、手をつき脱臼します。
腫れや痛みは激しく、正中神経という神経が圧迫されることにより手指に痺れが生じることもあります。

 

6-3.変形性手関節症

関節面の破壊や狭小化が起こることで、一次性(原因のこと)に起こることは少ないです。
多くは「橈骨遠位端関節内骨折」という手首の骨折や、「舟状骨偽関節」という手の骨折の後遺症に続いて起こることが多いです。
手首を動かすと痛かったり、手首を押さえると痛かったり、手首の動きが悪くなったりします。

 

7.キーンベック病(月状骨軟化症)の予後と後遺症

保存療法が無効な場合や、病状が進行している場合は手術が選択されます。
術後の※予後は良いとされています。
壊死が進行していると周辺の関節に変形を起こすこともあり、病期が進行する前に手術を行ったほうが良いとされています。
一度周囲に変形が生じると痛みや動かしにくさが残ることもあります。
長引く手首の痛みは明確な原因が無くても一度医療機関を受診しましょう。

※予後とは、病気の経過や結末の見通しのことです。

 

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