手の痛み, 痛み

ケンカで多いボクサー骨折(中手骨頸部骨折)の症状・原因・治療まとめ

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1.ボクサー骨折とは

パンチ動作などで拳を強打することにより、手の甲にある中手骨の頸部が骨折する疾患です。

多くがパンチ動作の際に起こる疾患のため、ボクサー骨折とも呼ばれています。

プロボクサーには比較的少なく、喧嘩やゲームセンターのパンチングマシンで受傷する事が多いです。

比較的発生頻度も高く、場合によれば高度の機能障害を残すこともあります。

・原因

拳を握って硬い物を叩いた時に発生し、ボクシングや空手などのスポーツに多いです。

同じ受傷機転で骨幹部の骨折が生じることもあります。

第4、5中手骨に好発しますが、衝撃が強い場合は第2、3中手骨の骨折も起こります。

・症状

骨折直後から、手の甲に激痛と腫れが出現し、背側に凸の変形が見られます。

痛みと腫れのため手を動かすのが出来なくなります。

・治療

転位が軽度であれば整復後にギプス固定を行いますが、変形が再び生じやすいので注意が必要です。

転位が大きく整復困難な場合は、鋼線を用い手術を行います。

・後遺症

適切な固定や処置を行えば約4週間ほどで骨がひっつき、比較的早く治ります。
しかし、骨折を放置したり適切な整復が行われなかった場合、指が捻じれたまま癒合するオーバーラッピングフィンガーが生じたり、変形性関節症に移行し、握力の低下や可動域制限、手指部や手関節部に痛みが起こりやすくなります。
早急な処置と適切な治療が必要となるので早期に医療機関を受診しましょう。

 

2.ボクサー骨折の症状

◆外観の変形

外力と骨間筋および虫様筋の作用により骨折部は背側凸変形がみられます。

骨折部の屈曲変形が生じるため、拳を握った状態で並びの異常がみられ、患指の拳がへこんで見えます。

◆手の甲の激しい痛み

手の甲周囲から手指にかけての激しい痛みが出現します。

指を動かすと激しい痛みが伴います。

◆手の甲の腫脹

手の甲を中心に腫れが出現します。

受傷直後から著明に腫れ、広範囲に腫れが見られます。

◆可動域制限

指を動かすと痛みが出るため、可動域制限がでます。

物を握ると痛みが増し、場合によると物を握ることが出来なくなります。

 

3.ボクサー骨折の原因

拳を握った状態で相手や硬い物などを殴った衝撃で発生し、ボクシングや空手などのスポーツに多いです。

第4、5中手骨に好発しますが、衝撃が強い場合は第2、3中手骨の骨折も起こります。

野球のスライディングや、ボールを捕球した際の手のつき方によって発生することもあります。

スキーのストックを持ったままこけ、手を強打した場合も受傷する事があります。

【引用文献:柔道整復学・理論編 改訂第5版】

 

4.ボクサー骨折の検査と診断

4ー1.触診・視診

捻挫や脱臼と間違いやすく、転位が軽度の場合は腫れもそれほど著明でないため圧痛部位の確認が重要です。

拳を握ってもらい、拳がへこんでないかを確認します。

痛みのため指の運動が制限され、物を握るのが困難になります。

4ー2.画像検査

レントゲンにて骨折や転位の有無を検査します。

CTやMRI検査を用い診断する事もあります。

 

5.ボクサー骨折の一般的な治療

転位が軽度の場合は徒手整復後にギプス固定やアルミニウム副子を行います

整復位の保持が難しく、容易に再転位してしまうので、手術の適応が多いです。

関節内骨折のため、正確な整復と固定が必要で、適切な処置をしないと、変形性関節症を生じやすいです。

5ー1.骨折の整復

手関節を軽度背屈位に保持して固定し、患指の中手指節関節を直角に屈曲します。

中手骨長軸方向に末梢牽引しつつ基節骨を介して遠位骨片を背側に突き上げます。

一方の手で背側凸に変形した近位骨片骨折端に圧迫を加え整復します。

5ー2.保存療法

◆固定

手関節軽度背屈位、MP関節40°〜70°屈曲位、IP関節軽度屈曲位で、前腕遠位から指先までギプスで約3〜5週間固定します。

患指だけ固定するのではなく、他の指も一緒に固定する事が大切です。

手関節の腱は、他の指を動かすと固定した指も一緒に動いてしまうため変形する場合があるためです。

変形したまま治癒してしまうと、※オーバーラッピングフィンガーを引き起こします。

※指を曲げた時に指が他の指に重なってしまい、きちんと握れなくなります。

◆運動療法

固定3週目ごろから自動運動を開始し、固定が除去次第、徐々に指を使用しながら機能回復を図ります。

5ー3.手術療法

◆内固定術

転位が大きい場合や整復位の保持が出来ない場合は、ピンやプレートを用い骨折部を繋ぎ合わせる内固定術を行います。

 

6.ボクサー骨折と間違いやすい疾患

骨折部が背側凸に変形するため、容易に診断出来ますが、転位が軽度の場合は捻挫や脱臼に間違いやすいです。

◆手指MP関節捻挫、亜脱臼

腫れが軽度な場合は捻挫と間違いやすいので、注意が必要です。

◆中手骨骨幹部骨折

同じ受傷機転で骨折する事があるので、圧痛部位や、拳の列に異常がないか確認します。

 

7.ボクサー骨折の予後と後遺症

初期に適切な整復、固定を行えば予後は良好です。
骨折を放置したり、適切な固定がされていないと骨折部が回旋したままくっついてしまうオーバーラッピングフィンガーや変形性関節症、手指の機能障害を残します。
中手骨の骨折ではごく軽度の回旋転位であっても障害を残しやすく、特に人差し指と小指では著明な回旋転位を起こしやすいです。

・オーバーラッピングフィンガーについて
オーバーラッピングフィンガーとは、骨折部が適切に整復されていなかったり、放置した場合に骨折部が回転したままくっついてしまうことをいいます。
例えば小指にオーバーラッピングフィンガーが生じると、指を曲げた際に小指が薬指側(又はその逆)へとかぶさるように曲がります。
そのため力が入りにくく握力の低下が生じるため物を掴みにくくなったり、手関節や手指部に痛みが起こりやすくなります。
変形したまま治癒すると、手術をしない限り一生治りません。
適切な処置と治療が必要となるので必ず医療機関を受診しましょう。

 

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