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少年の肘の痛み【上腕骨顆上骨折】症状・原因・治療まとめ

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1.上腕骨顆上骨折について

上腕骨顆上骨折とは上腕の肘のやや上にある部分の骨折をいいます。
小児の肘関節周辺の骨折で最も頻度の高い骨折で、年齢は5~12歳に多く発生します。
・原因
原因としては転倒・転落した際に肘を伸ばした状態で手を衝いて受傷します。
他にも肘を曲げた状態で転倒・転落して、直接肘をぶつけて受傷することもあります。
骨折部のずれかたによって伸展型と屈曲型に分かれ、前者は伸展型、後者は屈曲型となることが多いです。
本疾患の多くは伸展型となります。

・症状
肘関節周囲に強い痛みや腫れがあり、肘を曲げた状態で動かさなくなります。
またずれ方によっては神経や血管の損傷を合併するため、手に痺れを感じたり動かしにくいといった症状を呈することがあり、この場合緊急の処置が必要となります。

・治療
骨折部のずれがない、または少ない場合はそのまま固定します。
ずれが大きい場合や神経や血管の損傷が疑われる場合には手術が必要となります。

・後遺症
基本的に子どもの骨折は自家矯正力が旺盛で、多少ずれがあっても自然に治ります。
しかし小児の顆上部は前後の厚みがきわめて薄いことから整復しても再び転位する恐れがあり、変形したまま癒合してしまうと後遺症を残してしまいます。

さらに、激しい腫脹により前腕部にある屈筋区画の内圧が上がり血流の循環障害が起こると筋肉が壊死したり、神経障害が起こり指が曲がったまま動かなくなります。
これをフォルクマン拘縮といいます。
一夜にして現れ一生治らないことから、緊急的な処置が必要となります。

 

2.上腕骨顆上骨折の症状

◆肘関節周囲の激しい痛み

骨折時特有の激しい痛みが起こります。

◆肘関節周囲の腫れ

肘関節周辺が腫れます。
時間経過とともに水疱形成や皮下出血なども認められます。

◆肘の可動域制限

痛みのために肘を動かせなくなります。

◆手の痺れ動かしにくさ

骨折部の激しい腫れにより末梢の血流障害が起こると手に痺れを感じたり動かしにくくなることがあります。
この場合緊急の処置が必要となります。

 

2.上腕骨顆上骨折の原因

多くは転倒や転落した際に肘関節を伸ばした状態で手を衝いて受傷します。
他にも肘を曲げた状態で直接肘を衝いて転倒して受傷することもあります。
骨折部の転位方向によって分類が分かれ、前者が伸展型、後者が屈曲型となりやすいです。

2-1.上腕骨顆上骨折の分類

骨折部の転位方向によって分類が分かれます。
◇伸展型

 

伸展型が多く、ほとんどが肘関節を伸展した状態で手をついて受傷します。
典型例での骨折線は、後上方から前下方に向かい、近位骨片は前下方へ遠位骨片は後上方に転位します。
上腕骨に対し内方へ周転位します。

◇屈曲型

 

肘を屈曲した状態で転落転倒し、肘を直接ついた際に発生しやすいと言われています。
伸展型に比べると発生頻度は少ないです。
転位方向は伸展型の逆で、近位骨片は後方、遠位骨片は前方に転位します。
肘関節を伸展位にすれば容易に整復されることが多いです。

 

3.上腕骨顆上骨折の検査と診断

3-1.視診・触診

小児が肘周囲に疼痛を訴えて来院した時には本疾患を疑います。
しびれや循環障害を呈する場合には末梢神経障害や急性阻血性拘縮の合併を疑い、手指の運動や橈骨動脈の触知を行います。
他にもHuter線やHuter三角の異常を確認して鑑別します。
本疾患ではHuter線Huter三角ともに正常です。
内外顆の骨折や肘の後方脱臼ではこれらの所見が異常となります。

用語解説
Huter三角:肘関節を伸展し後方からみた場合、内側上顆と外側上顆を結ぶ線をいいます。正常な場合この線上に肘頭があります。
Huter線:肘関節を屈曲し後方からみた場合、内側上顆と外側上顆、肘頭が頂点とした二等辺三角形を形成します。

3-2.画像検査

レントゲンでの検査は、骨折の型や転位方向を確認します。
転位が大きい場合、診断は容易です。
しかし転位の少ない場合は肘内障や外・内顆骨折との鑑別が難しいです。

 

4.上腕骨顆上骨折の一般的な治療

小児の顆上骨折では保存療法を第一選択とします。
保存療法が無効な場合は手術を選択します。

4-1.保存療法

◇整復
整復の際には他の組織損傷や神経循環障害の発生を予防するため愛護的に行います。
可能な限り完全整復位を得ることが望ましいですが、末梢骨片の後方転位と回旋転位を矯正することが最も大事です。
ここでは代表的な整復法である神中法について述べます。
・神中法(伸展型の整復)
術者は一方の手で上腕遠位端を、他方の手で前腕を握り、肘を屈曲位とし前腕に牽引を加えます。
前腕は回内位で母指で肘頭を強く前方に押します。この操作で後上方転位を整復されれば肘関節を徐々に鋭角位にします。(この際末梢循環障害に注意する)
側方転位がある場合はこの時点で側方から圧迫を加えて矯正します。

◇固定
整復後は肩から手背までギプスにて固定します。
前腕は回内位にします。

4-2.手術療法

早期の可動域訓練が必要な場合や介在物の存在、血管神経障害が疑われる場合には手術が選択されることもあります。
手術方法はキルシュナー鋼線による経皮的整復と局所を展開する観血的骨接合術に大きく分けられます。

 

5.上腕骨顆上骨折の合併症

5-1.神経障害

平均17%程度に神経麻痺が出現すると言われています。
末梢骨片が後尺側に転位すると橈骨神経麻痺、後橈側に転位すると正中神経麻痺が発生する傾向があります。
尺骨神経麻痺は少ないです。
多くは2~3ヶ月で回復します。
稀に神経が両骨片の間に挟まっていることもあります。

5-2.フォルクマン(Volkmann)拘縮

上腕骨顆上骨折の合併症の中で最も重篤な急性合併症のひとつです。
直接血管が損傷を受ける場合と腫脹やギプスの圧迫により末梢部の血流障害が起こる場合とがあります。
これにより前腕屈筋区画への血流が阻害され、筋の壊死や神経障害が起こります。

この状態で6時間異常放置していると全指が曲がったまま動かせないなどの重篤な後遺症を残します。
早期発見・早期対処が重要です。

 

6.上腕骨顆上骨折と間違いやすい疾患

◆上腕骨外顆・内顆骨折

小児における骨折のなかで顆上骨折に次いで外顆骨折・内顆骨折が発生頻度の高い骨折です。
顆上骨折との鑑別で重要な疾患です。

◆肘頭骨折

本疾患の伸展型と同じような形で受傷します。
他にも上腕三頭筋の牽引力により裂離骨折を起こす場合や直接肘頭部をぶつけて発生することもあります。

◆上腕骨遠位骨端線離開

本疾患と同じような受傷の仕方で発生します。
比較的稀な疾患ですが、骨の発育が未完な幼児に好発します。

◆肘関節後方脱臼

脱臼では本疾患より好発年齢が高い
またHuter線やHuter三角の以上の有無を参考に鑑別する

・上腕骨顆上骨折伸展型と肘後方脱臼の相違点

上腕骨顆上骨折(伸展型) 肘後方脱臼
年齢 幼少年に多い 青壮年に多い
疼痛 限局性圧痛 連続的脱臼痛
腫脹 速やかに出現 漸次出現
他動運動 異常可動性 弾発性抵抗
Huter線 肘頭正常位 肘頭高位
上腕長 短縮 不変

参考文献:柔道整復学理論編

◆肘内障

3歳前後の小児に発生する外傷の中で肘内障は最も頻度が高いもののひとつです。
肘を引っ張った際に発生することが多い疾患です。

 

7.上腕骨顆上骨折の予後と後遺症

小児の場合多少のずれがあっても問題がないことが多いです。
しかし治っていく過程で内反肘変形が起こり機能障害などが起こることがある為その場合は追加の治療が必要となります。

◇変形治癒について
上腕骨顆上骨折後に発生しやすい変形にはいくつかあります。
・中枢骨片の尺側部分の突出
・末梢骨片の後方転位
・内反肘
などがあります。

中枢骨片の尺側部分の突出では屈曲制限の原因となります。
しかしその先端部分は徐々に吸収される傾向があります。
また、末梢骨片の後方転位による前方凸変形も吸収される傾向にあります。

しかし、内反肘はいったん変形が生じると修復されることは困難と言われています。
変形自体が機能障害を起こすことは少ないですが、外観上の問題として手術が選択されることもあります。
また遅発性尺骨神経麻痺が発生するという報告もあります。

稀ではありますが、上腕骨顆上骨折後に上腕骨の一部に骨壊死などが生じ、肘関節が変形することもあります。
末梢骨片の後方転位が著しい場合などは肘の屈曲制限や回旋動作に障害が残ることがあります。

 

 

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