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稀だが小児に多い【モンテギア(Monteggia)骨折】症状・原因・治療まとめ

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1.モンテギア(Monteggia)骨折について

モンテギア(Monteggia)骨折とは尺骨骨幹部上・中1/3部の骨折と同時に橈骨頭の脱臼しているものをいいます。
稀な疾患ですが、小児に多い疾患です。
受傷の仕方によって伸展型と屈曲型に分類されます。

主に打撃や転倒などの際に、外力から身を守ろうとして庇った腕が受傷します。
打撃などでは尺骨の単独骨折となりやすいですが、転倒や転落の際に手を衝くと、そのまま捻じるような外力が加わり橈骨頭が脱臼します。

症状は骨折や脱臼に伴う激しい痛みや腫れです。
痛みのために腕を動かすことはできません。
受傷した際に橈骨神経という神経を傷つけて神経麻痺がおこることもあります。

骨の転位が著しい場合は手術を行います。
整復してから内固定で骨の接合を図り、ギプスにて固定します。
数ある骨折の中でも治療が困難な骨折で、可動域制限などの後遺症を残しやすいです。

 

2.モンテギア(Monteggia)骨折の症状

◆激しい痛みや腫れ

骨折や脱臼に伴い激しい痛みや腫れがおこります。

◆可動域制限

痛みや脱臼により前腕部が動かせなくなります。

◆前腕部の変形

骨折の変形が著しいと見た目上でもわかるほど変形します。

◆手部の痺れ

橈骨神経に障害が加わると手部に痺れや運動障害が生じます。

 

3.モンテギア(Monteggia)骨折の原因

強力な外力が加わり発生します。
主に打撃を防ごうとした際や、転倒・転落した際に手を衝き、そこに捻じれるような力が加わると橈骨頭の脱臼を伴います。
本疾患は比較的稀な骨折ですが小児に起こりやすい骨折です。

外力の加わる方向によって伸展型と屈曲型に分類されます。

3-1.モンテギア(Monteggia)骨折の分類

◇伸展型

 

伸展型では後方から直接外力を受けて、前方凸の変形をきたし、橈骨頭は前外方に脱臼します。
モンテギア骨折の中では大多数が伸展型となります。

 

◇屈曲型

屈曲型では逆に尺骨後方凸の変形を呈し、橈骨頭は後方に脱臼します。
伸展型に比べて屈曲型はきわめて少ないです。

 

4.モンテギア(Monteggia)骨折の検査と診断

臨床症状から尺骨骨折の診断は容易です。
しかし橈骨頭脱臼はしばしば見逃されやすいため注意が必要です。

4-1.触診

尺骨は浅い部分にあるため骨折時に起こる異常可動性や軋轢音が著明にでます。
受傷機転や圧痛などから尺骨の骨折は診断が容易です。

橈骨頭の脱臼は、肘関節外側部の橈骨頭の位置を注意深く触診します。
前腕回内運動制限のチェックを行うこともありますが、疼痛のためこれらの検査は困難なことが多いです。

また橈骨神経損傷も合併しやすいため、神経学的所見の確認が必要です。

4-2.画像検査

正確なX線により診断できます。
橈骨頭の脱臼はしばしば見逃されやすいため肘関節を含めたX線画像が必要となります。

 

5.モンテギア(Monteggia)骨折の一般的な治療

正確な整復や安静を得にくいため治療に難渋しやすい骨折です。
陳旧化すると前腕の可動域制限や疼痛が残ります。
治療は転位などの程度をみて手術が適応となります。
また橈骨頭の脱臼では靭帯などの組織が陥入して整復しにくいことから手術にて適切に対処する必要もあります。

5-1.骨折の整復

転位が大きい場合などは整復を行ってから手術を行います。

◇伸展型の整復(参照:柔道整復学理論編)
第一助手は上腕を固定し、
第二助手は患肢前腕回外位にて手関節を把持し、徐々に末梢牽引を加えます
牽引を持続させたまま尺骨骨片を背側に圧迫し整復を行い、ついで橈骨頭を後内方に押し込み整復します。
伸展型の場合固定性が悪いため整復固定が十分に行われない場合は手術が適応となります。

◇屈曲型の整復
患肢肘関節伸展位で第一助手に上腕部を固定します。
第二助手は前腕回外位で末梢牽引を徐々に行い、背側に突出している尺骨骨折部屈曲転位の頂点に圧迫を加えて整復します。
この場合尺骨骨折部が整復され変形が矯正されると同時に橈骨頭はそれに伴って整復される場合が多いです
この型は骨折は安定性が良好な骨折です。

5-2.保存療法

◇固定
・伸展型の固定
肘関節鋭角屈曲位・前腕回外位で上腕上部からMP関節の手前まで背側に金属副子などで固定します。
・屈曲型の固定
肘関節伸展位前腕回外位で他は伸展型に準ずる

◇運動療法
筋の萎縮などにより可動域制限

5-3.手術療法

モンテギア骨折では整復の安定を得にくいため手術となることが多いです。
金属プレートなどで内固定を行い、ギプスにて3~4週間の固定を行います。

 

6.モンテギア(Monteggia)骨折と間違いやすい疾患

本疾患の診断は容易です。
合併症の有無を確認することが重要となります。

◆橈骨神経麻痺

骨折時に損傷しやすい神経として橈骨神経麻痺があります。

橈骨神経麻痺についてはこちら

 

7.モンテギア(Monteggia)骨折の予後と後遺症

本疾患では正確な整復や安静位を得られにくいため偽関節や遷延治癒などを起こしやすいです。
そのため陳旧化しやすく可動域制限や痛みなどが残りやすいです。
さらには橈骨頭の再脱臼や屈曲したまま治癒してしまうこともあります。
用語解説
偽関節:骨損傷部の癒合が完全に停止したもの
遷延治癒:骨折の癒合に要する通常の日数が経過しても癒合せず緩慢になっている状態

 

 

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