an's diary 杏の日記

慢性疲労症候群の症状・原因・治療まとめ

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1.慢性疲労症候群について

ある日突然強度の疲労感や全身の倦怠感に襲われる原因不明の病気です。
その他の症状にも微熱・リンパ節腫脹・頭痛・筋力低下・睡眠障害・思考力や集中力低下など多くの症状を伴います。
休んでも回復せず、最低でも6ヶ月以上症状が続くと言われています。
慢性疲労症候群により日常生活に支障をきたしている患者数は推定30万人に及び、介護が必要な場合や重度の場合は通院も不可能となります。

原因が不明なため明確な診断基準もなく治療法も確立されていません。
原因についてはいくつくかの説があります。
ストレスや遺伝的要因、感染症や免疫異常、内分泌系の異常、自律神経失調、脳・神経機能異常などがあります。

治療方法は確立されていませんが薬物療法や運動療法、安静などの治療が選択されます。

また、多種多様な症状が生じるため、多くの疾患との鑑別が必要です。

「慢性疲労症候群」という疾患名が世間に誤解を与えやすく、一般的な疲労と混合されてしまうことも問題となっています。

 

2.慢性疲労症候群の症状

症状は多く長期間続くため社会生活が送れなくなることがあります。
重症例では介護が必要となり、医療機関への通院も困難となります。

一般的に用いられる疲労との違いは、「強烈な全身の倦怠感」「回復しない」「日常生活が困難になる」などがあげられています。

◆全身倦怠感
◆一時的に動けないほどの疲労
◆脱力感
◆微熱
◆リンパ節腫脹による頚痛
◆頭痛
◆筋力低下
◆広範な筋肉痛
◆睡眠障害
◆思考力・集中力低下
◆憂うつ
◆意欲がわかない

など症状は多岐にわたります。

 

3.慢性疲労症候群の原因

慢性疲労症候群は原因不明の疾患です。
近年では脳内の機能低下が異常な症状を引き起こしている可能性が明らかになっています。
他にもいくつかの説があるため簡単に紹介します。

3-1.生活環境・ストレス

慢性疲労性症候群の患者に対するアンケートを行った結果、自覚はなくとも健常者より多くのストレスを抱えていることが多いことが分かりました。

・睡眠習慣の変化
・金銭トラブル
・家庭の事情
・けがや病気
・生活の変化

などの影響と発症することがあり、健常者より多問題を抱えていることが分かったため生活環境・ストレスの影響も示唆されました。

3-2.感染症

ウイルス感染後に発症したケースやその他の細菌感染をきっかけに発症した患者がいるため、感染による慢性疲労症候群の関与が疑われています。
厚生労働省では明らかに感染後に発症した慢性疲労症候群を「感染後CFS」として区別しています。

3-3.免疫異常

本疾患の患者にはアレルギー歴を有するひとが多いため、免疫の異常が慢性疲労性症候群のひとつの原因として示唆されています。

 

3-4.内分泌異常

数多くの内分泌異常が慢性疲労症候群患者で報告されており、慢性疲労症候群と何らかの内分泌異常が関与していることが考えられます。
具体的には、
・視床下部
・下垂体
・副腎系
の異常が報告されています。

3-5.脳・神経機能異常

慢性疲労症候群の不定愁訴には脳の機能異常によるものがあると考えられています。
SPECTやPETの検査では脳への血流低下や、糖代謝の低下などの異常が認められています。

 

4.慢性疲労症候群の検査と診断

現在国立研究開発法人日本医療研究開発機構では「慢性疲労症候群に対する治療法と治療ガイドラインの作成」について研究班を設け、ガイドライン作成委員会を組織し、公的なグレードシステムによるガイドラインが作成されています。
その中のいくつかの診断基準案や臨床検査についてご紹介します。

引用サイト
日本医療研究開発機構「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班

4-1.筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)臨床診断基準【案】(2016年3月改訂)

 

Ⅰ.6ヵ月以上持続ないし再発を繰り返す以下の所見を認める
(医師が判断し、診断に用いた評価期間の50%以上で認めること)
強い倦怠感を伴う日常活動能力の低下*
活動後の強い疲労・倦怠感**
睡眠障害、熟睡感のない睡眠
下記の(ア)または(イ)
(ア)認知機能の障害
(イ)起立性調節障害
Ⅱ.別表1-1に記載されている最低限の検査を実施し、別表1-2に記載された疾病を鑑別する
(別表1-3に記載された疾病・病態は共存として認める)
病前の職業、学業、社会生活、個人的活動と比較して判断する。
体質的(例:小さいころから虚弱であった)というものではなく、明らかに新らたに発生した状態である。
過労によるものではなく、休息によっても改善しない. 別表2に記載された「PS(performance status)による疲労・倦怠の程度」を医師が判断し、
PS 3以上の状態であること。
** 活動とは、身体活動のみならず精神的、知的、体位変換などの様々なストレスを含む。

 

4-2.ME/CFS診断に必要な最低限の臨床検査

(1) 尿検査(試験紙法)
(2) 便潜血反応(ヒトヘモグロビン)
(3) 血液一般検査(WBC、Hb、Ht、RBC、血小板、末梢血液像)
(4) CRP、赤沈
(5) 血液生化学(TP、蛋白分画、TC、TG、AST、ALT、LD、γ-GT、BUN、Cr、尿酸、 血清電解質、血糖)
(6) 甲状腺検査(TSH)、リウマトイド因子、抗核抗体
(7) 心電図
(8) 胸部単純X線撮影

 

4-3.PS(performance status)による疲労・倦怠の程度(PSは医師が判断する)

 

倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる
通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感ずるときがしばしばある
全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*1
全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である*2
通常の社会生活や労働は困難である。軽労働は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である*3
調子の良い日には軽労働は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息している
身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である*4
身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している*5
身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている
疲労・倦怠感の具体例(PSの説明)
*1 社会生活や労働ができない「月に数日」には、土日や祭日などの休日は含まない。
また、労働時間の短縮など明らかな勤務制限が必要な状態を含む。
*2 健康であれば週5日の勤務を希望しているのに対して、それ以下の日数しかフルタイムの勤務ができない状態。
半日勤務などの場合は、週5日の勤務でも該当する。
*3 フルタイムの勤務は全くできない状態。
ここに書かれている「軽労働」とは、数時間程度の事務作業などの身体的負担の軽い労働を意味しており、
身の回りの作業ではない。
*4 1日中、ほとんど自宅にて生活をしている状態。収益につながるような短時間のアルバイトなどは全くできない。
ここでの介助とは、入浴、食事摂取、調理、排泄、移動、衣服の着脱などの基本的な生活に対するものをいう。
*5 外出は困難で、自宅にて生活をしている状態。日中の50%以上は就床していることが重要。

 

5.慢性疲労症候群の一般的な治療

原因不明のため確立された治療法はありません。
現在の報告では薬物や運動を用いた治療法が研究されています。
その内容を説明します。

5-1.薬物療法

・抗うつ薬
憂うつ感に対して抗うつ藥が改善に効果的であるとした報告があります。

・漢方薬
補中益気湯や十全大補湯等の漢方薬が症状の緩和に効果があると指摘されています。
しかし他の薬との併用の危険性や副作用への留意が必要であることから専門家による治療が望まれます。

他の薬剤の報告もありますが依然として有効性を示す報告は少ないです。

5-2.運動療法

・段階的運動療法
リハビリの専門家や理学療法士による適切な指導の下で施行される運動療法が症状の緩和に有効であると言われています。

・認知行動療法
認知行動療法とは心理療法の総称で、思考などに焦点をあて発展した治療法です。
疲労度の改善や症状の緩和、学校への出席率改善に有効とされていて、治療法として考慮しても良いと言われています。

・栄養補助食品類
慢性疲労症候群の症状改善に有効であったという報告がされていますが、研究期間の問題や研究数が少ないことから結論には至っていません。

・補完代替療法
◇鍼灸治療
主に中国から有効性が高いと報告されています。
しかし日本と中国間での鍼灸治療の相違などの問題があるため現在選択するか導かの判断は検討中です。

 

6.慢性疲労症候群の鑑別

症状は多くあり、他の疾患と似た症状を生じることから鑑別疾患は多岐にわたります。
割愛して説明します。

・臓器不全
・慢性感染症
・慢性炎症性疾患
・神経系疾患
・多発性硬化症
・内分泌疾患
・睡眠障害
・精神疾患
などがあります。

本疾患との共存・併発を認める疾患もあります。
・線維筋痛症
・過敏性腸症候群
・起立調節障害
・脳脊髄減少症
・下肢静脈不能症候群
などがあげられています。

以上の項目は割愛して説明しております。
詳しくはこちらのホームページへ
日本医療研究開発機構「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班

 

7.慢性疲労症候群の予後と後遺症

現段階では確立された治療方法もなく病気を診断治療できる医療機関も少ないです。
そのため社会福祉制度なども整っておらず、重度の方では寝たきりや経管栄養、車いすでの生活を強いられ日常生活に多大な支障をきたしています。

 

 

※内容に誤りや情報が古いなどありましたらお手数ですがご一報ください。

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