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【下痢と腹痛】腸管出血性大腸菌O157の症状・原因・治療まとめ

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1.腸管出血性大腸菌O157とは

「大腸菌」と「腸管出血性大腸菌」の違いは?

「大腸菌」は動物の消化管内にいる細菌で、人間の場合は大腸の中に生息していています。
本来多くは無害なものです。

その中でも下痢などの症状を引き起こす人体に害のある大腸菌の事を「病原性大腸菌」と呼びます。
「腸管出血性大腸菌」とは病原大腸菌の中の一つで、ベロ毒素(志賀毒素)という強い毒素を出すことで下痢や腹痛、出血をともなう腸炎をひき起こします。
O157はこの腸管出血性大腸菌の一種です。

O157は感染力が強く、気温が低い時期でも起こる

食中毒の原因となる多くの大腸菌は、普通カラダの中に100万個~数億個存在しないと発症しないのですが、O157はたったの100個程度でも症状が起こってしまいます。
感染力が非常に強いと言われるのはこのためです。
起こる頻度も多く、重症になる確率も高い事から、食中毒の原因菌として非常に恐れられています。

また、一般的に梅雨から夏にかけての温度の高い時期が病原菌が増えやすいため食中毒が多く起こるのですが、O157は数が少なくても発症するので、気温が低い時期にも発生するため注意が必要です。

 

2.腸管出血性大腸菌O157の原因

O157は元々ウシなどの家畜の腸内にいる菌です。その腸の内容物(便など)に汚染された水や食物や手指から、菌が口に入る事で人に感染します。
感染した人の便などの排泄物から人へも感染します。

【主な感染ルート】

・生または加熱が十分でない肉や内臓(特に牛肉)を食べる
・生肉を調理したまな板、包丁などの調理器具を他の調理に使う
※75℃で1分間加熱するとO157は死んでしまいます。しっかり火を通して、調理器具は熱湯消毒をしましょう。

・殺菌されていない牛乳など乳製品
・O157のいる便に汚染された水(井戸水、便の近くの水たまりなど)
・O157のいる便を触った手で調理した生の食べ物(サラダなど)
・O157に感染した人の便に汚染されたものに触れ、それが口に入る

※大腸菌は熱と消毒に弱いので、加熱、熱湯消毒、逆性石鹸での手洗い、消毒用アルコールなどでの消毒が有効とされています。

 

3.腸管出血性大腸菌O157の症状

O157はベロ毒素(志賀毒素)と言われる強い毒を出します。

O157が体内に入って感染してから大体潜伏期間が3~5日あり、症状が軽い場合は無症状や軽い下痢ですむ場合もあります。

しかし、重症の場合は次のような症状が見られます。

腹痛と水の様な下痢

症状は腹痛と水様の下痢から始まります。

血の混じる下痢、血のみの下痢

24時間以内に血の混じる下痢、便がなく血のみのような下痢になります。

発熱

一般的には熱はないか、あっても微熱程度ですが、まれに39度台の高熱が出る場合もあります。

 

【注意点】

・症状が出ていない潜伏期間内でも便の中に菌が出ている為、感染が広まってしまう可能性があります。

・下痢が始まって数日後に、5歳未満の乳幼児や60歳以上の患者の少数に、溶血性尿毒症症候群(HUS)※1が合併症として起こる場合があり、注意が必要です。

※1:ベロ毒素(志賀毒素)によって血小板減少、溶血性貧血、急性の腎障害がおこります。それによって出血が止まりにくくなり、貧血、急性腎不全など腎臓に障害が現れます。脳に症状が現れてけいれんや意識障害を起こしたり、腸管穿孔と言われる腸の壁に穴が開く症状などを併発して死にいたる場合もあります。

 

4.O157の診断と検査法

【検査方法】

便から大腸菌を分離してどの種類かを調べます。
さらに分離した菌からベロ毒素(志賀毒素)が産生されていることを確認します。

ただし、上記の検査は時間がかかるため、症状からO157が疑われる場合は迅速診断キットが使われます。

 

5.O157の鑑別疾患

【食中毒を起こすその他の原因】

・サルモネラ菌
十分に加熱していない肉・魚・卵などが原因となります。
食後6~48時間くらいで吐き気や腹痛、下痢などの症状が出ます。

・黄色ブドウ球菌
傷のある手で食べ物を触ると食べ物に菌がつきやすくなります。
食後すぐ、30分~6時間で吐き気や腹痛などの症状が出ます。

・腸炎ビブリオ菌
生魚や貝類などの魚介類が原因となります。
食後4~96時間(4日)と幅がありますが、激しい腹痛と下痢などの症状が出ます。

・カンピロバクター
加熱が不十分な肉、飲み水、生野菜が原因となります。ペットから感染する場合もあります。
食後2~7日後に下痢、吐き気、腹痛、発熱、筋肉痛などの症状が出ます。

・ノロウイルス
カキなどの二枚貝を生や半生で食べたり、水を介して感染する事もあります。
食後1~2日で吐き気、下痢、腹痛などの症状が出ます。

・E型肝炎ウイルス
加熱が不十分な豚肉や内臓を食べる事が原因となります。海外で生水や生もので感染する事もあります。
ほとんどの場合は症状が出ませんが、一部の人に感染から6週間後くらいにだるさや皮膚が黄色くなる、熱が出るなどの症状が見られます。

(参考:農林水産省HP)

 

6.O157の一般的な治療

【抗菌薬】

O157感染症での抗菌薬の使用は国内外で賛否あり、WHO(世界保健機構)などでも検討課題とされていて、はっきりとした結論が出ていないのが現状です。そのため、主治医の判断に任せられています。

しかし、抗菌剤を使う使わないに関係なく、乳酸菌製剤などを投与することは国内外ともに有効だと言われています。

【止痢薬】

下痢止めの薬は腸の中に菌が停滞する時間が長くなる事で、毒素を吸収してしまう可能性が高くなるため使用しないとされています。
下痢をしているからと自己判断で下痢止めを飲むのはキケンです!

【治療法】

下痢の症状があり、O157と診断された場合は安静にし、経口補水液等で水分補給します。
症状が落ち着いてきたら胃腸に負担のかからない、消化のしやすい食事から始めます。
激しい腹痛や血便などで症状が重く、口から食べ物を食べたり水分を摂るのが難しい場合は輸液(点滴)を行う場合もあります。

 

7.O157の予後と合併症

【予後】

O157は軽いものは無症状で終わるものから、軽い腹痛や下痢だけのもの、激しい腹痛や血便をおこすもの、重い合併症を起こし死にいたるものまで様々なため、予後は一概には言えません。

【合併症】

乳幼児と高齢者で、血便や腹痛の症状が激しい患者は合併症を起こしやすいと言われています。
しかしそれ以外でも重症な合併症は起こることがあり、稀に症状が強くなくても合併症を発症することもあるので注意が必要です。

1.溶血性尿毒症症候群(HUS)

O157に伴うHUSは、下痢などが始まってから数日から2週間以内(一週間前後が多い)に発症することが多いので、次のような症状が見られる場合は注意が必要です。すぐに医療機関にかかりましょう。

・貧血
・血が止まりにくい
・顏色が悪い
・おしっこの量が少ない、おしっこが出ていない
・むくんでいる
・意識がはっきりしない

2.脳症

1.のHUSとともに前後して起こる事が多いので注意しましょう。
O157に感染した後次のような症状が見られた場合、数時間の間にけいれん、昏睡などがおきる場合があります。
おかしいなと思ったらすぐに医療機関にかかりましょう。

・頭痛
・眠たくてウトウトする
・落ち着きがなくなる
・いつもよりよくしゃべる
・幻覚が見える

 

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